将棋の西山朋佳女流三冠=白玲、女王、女流王将=が4日、プロ棋士編入試験受験の意向を表明した。西山はこの日午前に行われた第18回朝日杯将棋オープン戦一次予選で阿部光瑠七段に勝利し、直近の公式戦成績が13勝7敗に到達。プロ編入試験受験資格となる「プロ公式戦において、最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績を収めたアマチュア・女流棋士」の条件を満たし、受験資格を獲得していた。

 西山は「昼食休憩の後、(将棋連盟に意向を)お伝えさせていただきました。受験をさせていただこうと思います」とはっきりと表明した。正式な書類は1か月以内に提出することとなる。

 受験を決めた理由については「積極的な選択をしようかなと思った」と話した。

 これまで女性で棋士編入試験の資格を得たのは、22年の福間香奈女流五冠=清麗、女流王座、女流名人、女流王位、倉敷藤花=のみ。福間は試験で3連敗し不合格となったため、女性が棋士になった例はいまだない。

 西山は10年に棋士養成機関「奨励会」に入会し、三段まで昇段。棋士を目指して戦っていた。2位以内に入ると棋士になれる三段リーグでは、19年度後期に14勝4敗で1位2位と同成績ながら前期順位を踏まえた3位に。初の「女性棋士」にあと一歩まで迫ったものの四段昇段(プロ入り)には届かず。その後、21年に女流棋士に転向した。

 プロ棋士編入試験は05年に特例で実施され、アマとして活躍した瀬川晶司六段が合格して翌年、正式に制度化された。現在の試験制度は棋士番号の若い新四段5人を試験官とする五番勝負。5局中3勝で合格となり、順位戦フリークラスへの編入資格を得る。これまで、14年に今泉健司五段が、20年に折田翔吾五段が、23年に小山怜央四段がそれぞれ合格している。