猪木対アリ戦を仕掛けた新間寿氏、メイウェザーと那須川戦を「エキジビションならやる意味がない」 

猪木対アリ戦を仕掛けた新間寿氏、メイウェザーと那須川戦を「エキジビションならやる意味がない」 

 リアルジャパンプロレス会長で、昭和の新日本プロレス黄金時代に“過激な仕掛け人”として1976年6月26日に日本武道館で行われたアントニオ猪木氏とボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリ氏との格闘技世界一決定戦など、幾多の伝説的な試合を実現した新間寿氏(83)が9日、スポーツ報知の取材に応じた。

 5日に格闘技イベント「RIZIN」が、大みそかにさいたまスーパーアリーナでの実現を発表したボクシングの5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41)=米国=と、デビュー以来32連勝中の格闘家・那須川天心(20)との異種格闘技戦が「猪木対アリ戦」と比較され、引き合いに出されたことへ憤りをあらわにした。

 新間氏は、76年の猪木対アリ戦の実現へ猪木のマネージャーとして全権を委任されアリ側との交渉に奔走。30億円に達する巨額なファイトマネーから試合前日まで難航したルール問題など数々の障壁をすべてクリアし今も語り継がれる伝説の一戦を現実にした。

 今回、ボクサーと格闘家の異種格闘技戦ということもあり、試合が発表された会見でメイウェザーに「猪木対アリ戦」への質問がされ「ハイライトで見たことがある。なかなかいいショーだった」と答え、「猪木対アリの興奮再び」などと報じられた。

 こうした風潮に新間氏は憤慨する。

 「猪木・アリ戦と比較なんかできるわけがないじゃないの。猪木さんがやったのは、モハメド・アリですよ。当時、現役の世界チャンピオンなんですよ。メイウェザーって5階級とか言ってますが、だいたい、私はそんな名前知らなかったし、もう引退したボクサーでしょ。アリは世界どこの国へ行っても誰でも知っている世界的な正真正銘のチャンピオンだったんですよ。それとアリを比べるなんて冗談じゃないよ!」

 その上でアリ戦の実現へ動いた時の猪木氏の言葉を明かした。

 「猪木さんが私に“誰もやらない、誰もできないことを男の夢として実現する。それが男のロマンだ。新間、オレのロマンを実現してくれ”ってそういう猪木さんの言葉があったから私は動いたんです。当時、いつも猪木さんの上にはジャイアント馬場さんという人がいたんです。超えるに超えられないものは猪木さんにとって馬場さんであり力道山先生だった。その人の向こうを張るには馬場もできない、力道山もできなかったことをやるしかない、と。そのためにアリとやる、これしかないと思ったんです。猪木さんが馬場さんの上を超えるだけの世界的な知名度をつけるためにはアリとやることが最高だと思った。それで私は全力で集中したんです」

 アリへの挑戦を猪木氏が表明した時、世間の嘲笑と批判に襲われた。

 「私も、こんなできるわけがないことをやろうとするなんて頭がおかしいんじゃないかと言われましたよ。だけど、猪木さんの夢を実現させようと一心不乱に動きましたよ。そこには、とにかく猪木さんの夢を実現させようと、金銭なんかすべて度外視で交渉しました」

 アリ側の提示をすべて飲み、試合前日まで要求された圧倒的不利なルールもすべて受け入れ、リアルファイトであの伝説の一戦が実現した。今回のメイウェザー対那須川戦は、8日なってメイウェザーが自身のインスタグラムで対戦は「合意していない」と主張し、実現が不透明な状況に陥っている。

 「そんなことは、アリ戦までに何回もありました。試合をプロモートしている方たちへ今の私から、言えることは、すべてはご自分で考えてやりなさいということだけです。自分たちで努力しないとダメです。私は、どっかおかしいんじゃないかって言われても猪木・アリ戦の実現へ奔走しました。今回、私みたいな人間が出たんでしょうか? そこまでしないと、こういう試合はできませんよ。それと、赤字を背負ってでもこの選手を信頼し信用しこの人間がこれから格闘技界を背負っていくと見極めたら10億でも100億でも使えばいい。そういう気持ちがなければやめた方がいい。ただ、私から言わせればそもそもこの試合で客を呼べるのかとも思いますが」

 メイウェザーは、インスタグラムで試合の契約内容は「高額なファイトマネーで3ラウンドの9分間のエキジビションマッチ。テレビ中継もしないものだった」などと暴露した。

 「エキジビションならやる意味がない。それだったらこれはエキジビションですよってエキジビションなみの入場料金しか取れないでしょ。そうでないとお客さんに失礼ですよ。中継するテレビ局もそういうのを承知で放映するんだろうか。格闘技は、なんでも真剣勝負だって言っているんだから、なんだ、エキジビションなのかオレはみたくもないよっていう視聴者が多いんじゃないかな」

 不可能を可能にした猪木対アリ戦は、試合後、2人の間に友情が生まれた。

 「猪木さんはあの試合で反則をしなかったんです。だから、その後、2人はうまくいったんです。アリは“猪木は真剣に戦ってくれた。その結果がこれなんだ。何を言われようといいじゃないか”って言ってくれたんです」

 一方で試合の契約を巡ってアリのマネージャーが米国の裁判所に新日本プロレスを相手取り巨額の損害賠償請求を申し立てられた。

 「当時のお金で90億円を請求されました。向こうの弁護士が10人で、こっちも4、5人ついていてんですが1年半から2年間、裁判しても決着しなくて。そこで私が渡米してアリのマネージャーのハーバード・モハメッドと1対1で1時間半の話をしたんです。私は仏教の話をしました。そこでハーバードが“新間わかった。国が違い、肌の色が違い、言葉は違うが誠意というものをお前は私に見せてくれた”と言ってくれて、90億円を示談にしてくれたんです。その時、ハーバードと一緒に写真を撮って“MY FAMILY HISASHI SINMA”ってサインしてくれて、今も大切にその写真は持っていますよ。猪木対アリ戦にはそういうドラマもあったんです。だから、猪木対アリと比べることを聞くこと自体、私からしたらインタビューする方が間違っている。ランクも違うし話題性も違う、戦う選手も違うんです。アリは本当の現役の世界チャンピオン。そういうことを取材に来るあなたが間違っている!」


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