フットサル・エスポラーダ北海道は27日、アウェー・湘南戦(小田原)で今季Fリーグ開幕を迎える。指揮するのは4月にコーチから就任した嵯峨祐太監督(43)=旭川市出身=。中学教員と異色の“二刀流”で上位進出、悲願の優勝を目指す。
教室とコート、生徒と選手。舞台は変わっても熱いまなざし、きめ細かい声がけは変わらない。「信頼関係は相手に耳を傾け、受け入れることから」。練習では選手19人と対話を重ね、最善の準備を進めてきた。
担当教科は技術で今春異動の旭川北門中では特別支援学級担任も務める。今季へ向け監督が空位となり、現役時も共闘したGMでFPの水上玄太(39)から「祐太君しかいない」と口説かれるも簡単な決断ではなかった。「結果が出なければ、そんなの無理だときっと言われる。家族も学校もある。色々考えた」と明かすが、自分の心にウソはつけなかった。「愛するチームの監督に。こんなチャンスはない」。妻・紗邪華さん、中3の娘・夢叶さんにも熱意を伝え、後押ししてくれた。
選手も働くため練習は火〜金曜の夜7〜9時が基本。指揮官は朝6時半に中富良野の自宅から約50キロの旭川へ。放課後の午後4〜5時はサッカー部を指導し約120キロをかけ札幌へ向かう。帰路含め一日の運転距離は約300キロだが「家族も生徒も先生も頑張ってと言ってくれる。感謝も大きな力」と、弱音や言い訳は一切ない。
金井一哉前監督を支えた昨季は8年ぶり4連勝など一時上位も見えたが最後は10位。伝統も大切にしつつ求めるのは、指導者講習会でサッカー日本代表・森保一監督も口にした「フットボールの本質」だ。「ゴールに向かう、ボールを奪う。自分たちがボールを握れば失点もない。他監督も嵯峨だけには負けたくないと来るはず。それをはね返し、現役時代からの『優勝カップを北海道へ』を叶えたい」。戦う先生が、覚悟の一歩を踏み出す。(川上 大志)
◆嵯峨 祐太(さが・ゆうた)1979年10月28日、旭川市生まれ。43歳。チーム創設の2008年から14年までエスポラーダ北海道で主力FPとしてプレー。引退後はフットサル北海道選抜やD.C Asahikawa Futsal Clubの監督、20、21年はエスポラーダ北海道セカンドのコーチ、22年はトップチームコーチを務めた。家族は妻と長女。