◆大相撲 ▽九州場所9日目(20日・福岡国際センター)

 霧島は大関経験者・朝乃山を退けて2敗を死守した。立ち合いから相手の馬力に押し込まれて辛抱の展開。最後は押し込まれながら、捨て身のはたき込み。物言いが付いたが、軍配通りに白星を拾った。「まわしを取らせないように我慢した。稽古のおかげ」。年間最多勝争いでも56勝で先頭の大栄翔に並んだが、「意識してない。自分の相撲を取りたい」と意気込んだ。

 * * * *

 霧島と朝乃山の立ち合いは五分に見えました。ただ大関は朝乃山得意の右差しを封じ、さらに左を差される場面もありましたが、完全な左四つの体勢は許しませんでした。朝乃山の圧力がかからない展開に持ち込み、十分に差させず、うまく回り込みました。最後はタッチの差でしたが、はたき込みが決まりました。

 負けた朝乃山は、まわしを取っていないのに無理に攻める悪い癖が出ました。左ふくらはぎの肉離れで、ぶつかり稽古も不足しているのでしょう。残せはしますが、前に出ると足がついていきませんでした。

 霧島のここまでの9日間は前に出ていい相撲もあります。左四つが得意ですから、立ってすぐに右前みつを取って素早く自分の体勢に持って行けば、もっと楽に相撲を取れるはずです。大関の意地で、このまま離されずに追走してほしいです。(宮城野親方=元横綱・白鵬、スポーツ報知評論家)