◆米大リーグ ドジャース―メッツ(19日・米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・山本由伸投手(25)が19日(日本時間20日)、メッツ戦に先発し、5試合目でMLB挑戦後最長となる6イニングを投げ、7安打4失点(自責3)9奪三振で降板した。

 山本はこの日がドジャースタジアムで3度目の登板。3月30日(同31日)のカージナルス戦は5回2安打無失点、4月12日(同13日)のパドレス戦は5回4安打3失点でともに勝ち負けはつかなかった。この日もビハインドを背負って降板。打線が追いつき敗戦投手は消えたが、本拠初勝利はまたもお預けとなった。

 初回は3者凡退と抜群の立ち上がりを見せた。1番・ニモはカーブで見逃し三振、2番・マルテは直球で左飛、3番・リンドアはスプリットで見逃し三振。わずか9球で上位打線を料理した。2回は先頭の昨季46発の主砲アロンソを空振り三振としたが、続くスチュワートに右越え先制ソロを被弾。前回登板に続き、2試合連続で本塁打を許した。その後も捕失で1死二塁とされると、続くマクニールとの打席では三振を奪ったものの、ピッチクロック違反もあった。そしてベーダ―に中前適時打を許し、2点目を奪われた。

 3回には四球と二塁打で無死二、三塁のピンチ。リンドアを浅い中飛で1アウトを奪ったものの、アロンソに右前適時打、スチュワートに中犠飛を許し、さらに2点を奪われた。

 4回は1死から右翼線へのエンタイトル二塁打と左前打を連打された。1死二、三塁から1番ニモと2番マルテから連続空振り三振を奪い、無失点でこらえた。5回、6回も無失点で抑え、後続にマウンドを託した。

 ドジャース打線は2−4の6回、メッツ三塁ウェンドルの失策と野選、四球などで2死満塁のチャンスを作ると、打率が1割を切っていたテーラーが2点左前適時打を放ち、同点に追いついた。この瞬間、山本の敗戦投手が消えた。

 昨オフの“由伸争奪戦”でメッツはドジャース、ヤンキースとともに最終候補に残っていた。結局、山本は12年総額3億2500万ドル(約465億円=契約発表時のレート)でド軍を選んだが、米メディアによると、メッツは同等の条件を提示していたとされる。大富豪として知られるオーナーのコーエン氏が自宅に招待するなど、2度の会食で猛アプローチをかけたが、及ばなかった。

 この日の試合前、会食にも出席していたメンドーサ監督は「彼はとてもディテールにこだわる。準備に関しては自分がやることにとても集中している。そして、とてもよく周囲を観察している。周囲をよく見て、よく聞いている。その中でも特に際立っていたのが準備に対するディテールだったよ」と当時の山本の印象を明かし、「いいかい、彼はいい投手だ。多くの球団が彼を欲しがったし、それには理由がある」と初対戦へ警戒を強めていた。