◆ラグビー ▽リーグワン第16節 トヨタ 45―18 BR東京(5日・秩父宮)

 最終節が行われ、トヨタ(旧トヨタ自動車)はBR東京(旧リコー)に45―18で勝利。この日は、ニュージーランド(NZ)代表SOのB・バレットが日本での最終戦となり、80分間のフル出場。勝利に貢献し「しっかりと高いパフォーマンスを見せることもできて、ファンの方に誇りに思ってもらえるかなと思います」と、充実の表情を浮かべた。

 世界年間最優秀は2度のスーパースターが、1万6951人の観客を沸かせた。12―13の後半15分、中央付近にこぼれたボールにチャージ。3度の“ドリブル”と快足で抜け出しインゴールに迫ったが、わずかに届かず。それでも28分には敵陣左サイド22メートルライン外から絶妙なキックパスを転がし、BK古川聖人のトライをアシストした。一流の足技を見せ「最後の試合、ファンの方が『スバラシイ』」と、日本語も交えながらファンの声援に感謝した。

 準優勝を果たした昨年のW杯後、単年契約で来日。20年にサントリー(現東京SG)で活躍して以来の日本でのプレーだったが、残した功績は大きい。ベン・ヘリング・ヘッドコーチによれば、この試合の2日前、チーム練習後にバレットがタックルバッグを持ち、他の選手の練習をサポートしていたと言う。「まさにチームファースト、その姿勢の鏡。そういった姿勢や向き合い方は、チームに残っていくもの」。姫野和樹主将も「彼はすごく、細かいところにこだわる。常にノートに書いているし、緻密にラグビーを考えている。勤勉さは選手にいい影響を与えた」と振り返った。

 バレットはトヨタでのプレーについて「チームに来た時に、何かを変えるというよりは、チームにすぐになじめるようにと言うことを意識した」と回顧。今季は同じNZ代表のSHアーロン・スミスと共にチームをけん引してきたが、トヨタは7位でプレーオフ進出は果たせなかった。無念さも胸に「80分間を通して、一貫性を持ったパフォーマンスがなかなかできなかった。選手層も含め、一貫性を持ったプレーができれば。そこはチームのDNAとして、これから培っていくもの」と期待した。

 W杯後、日本での複数年契約やフランスでのプレーの選択肢もありながら、NZ代表として戦うため1年間の特別休暇制度を利用したというバレット。「オールブラックスにいると言う事は特別な事。特に兄弟3人でプレーできる事、そこが一番の理由と言っても過言ではない」と、共に国を背負うスコット、ジョーディーの2人の弟への思いも語った。「新しいオールブラックスでも、自分が貢献できれば、という事を夢見てやっている」とボーデン。出場すれば4大会連続となる27年W杯に向けては「先を見すぎず、1年1年を見据えながらやっていきたい」。みたびの日本でのプレーについては「まだ先の話ですから。でももちろん、自分の体、気持ちがそこについていけば、それができる状態であればやりたい。できる限り、ラグビー選手を続けたいと思っています」と、笑顔で話した。