◆報知新聞社後援 首都大学野球▽第6週第1日 東海大2―3帝京大(11日・越谷市民)

 4季ぶりに1部で戦う帝京大が東海大を破って勝ち点4とし、2017年春以来、14季ぶり(20年春はコロナ禍で中止)5度目の優勝を果たした。“1部昇格即V”は、2部制になった1966年以降、初めての快挙。リーグ戦はあと1週残すが、他大学が勝ち点で並ぶ可能性はなく、優勝が決まった。帝京大は、7年ぶり3度目の全日本大学野球選手権(6月10〜16日・神宮、東京D=報知新聞社後援)への出場も決めた。

 伝統を誇る首都大学リーグで、かつてない“下克上”だ。昨秋まで3シーズン続けて2部で戦っていた帝京大が、一気に1部の頂点へ。燃えるような赤いユニホームをまとった選手たちが、雄たけびを上げマウンド付近で歓喜の輪を作った。

 中心にいたのが、エース・栄龍騰(りゅうと)投手(4年=津田学園)だ。初回に2点を失ったが、2回以降は2安打しか許さず2失点完投。昨秋、2部で防御率1位(0・46)となり、今季も1・47でトップに立つ最速148キロ左腕は「(開幕前は)『いける』とは思っていなかった。(9回2死)あと1球になった時は、全身鳥肌が立ち、足も若干震えました」と感激の面持ちだ。チーム防御率2・62、チーム打率2割7分3厘ともリーグトップ。文句なしの優勝だった。

 2部に在籍中、大学選手権を10度優勝したラグビー部の岩出雅之前監督からの講義で組織力の大切さを学んだ。栄は「全体が一つの方向を向いていなければいけない」と意味をかみ締める。11年から指揮する唐沢良一監督(54)は、感極まった表情で「一体感の大切さなど精神面について話していただきました。一番苦しい時、OB、学校関係者に応援していただきました」。

 帝京大のスポーツは、ラグビー、駅伝も「赤」がイメージカラー。おそろいの赤いシャツがスタンドを埋め、チームも「白」と「赤」の2種のユニホームのうち「赤」を選択。一体感を演出した。「応援は力になりました。全国の舞台でも、やって来たことをやるだけ」と栄。時間をかけ“オール帝京”で築かれた力は本物だ。(浜木 俊介)