◆大相撲 ▽夏場所10日目(21日、東京・両国国技館)

 東前頭3枚目・高安が、再出場からの大関連破をやってのけた。琴桜を上手投げで破り、トップの座から引きずり降ろした。腰を痛めて途中休場したが、復帰戦となった9日目の大関・豊昇龍戦に続く殊勲星を挙げた。2日目には新小結・大の里も破るなど、元大関の実力をいかんなく発揮。今後の優勝争いのキーマンになりそうな存在だ。

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 高安はやはり実力者だった。休場明けで大関に連勝。休場前も大の里を子供扱いにしている。腰が悪くなかったらと思うと残念だ。

 琴桜の一番はうまい相撲を取った。2本差しを許さない防御。右四つになってからは琴桜が出てくるところを右に体を開いた。注目したいのは左上手投げを打った時の高安の左足の位置。琴桜の両足の間に入れて攻めた。何もしなかったら寄り切られていた可能性はある。ベテランの妙。再び腰を痛める危険性もあるが、優勝争いのキーマンだ。

 琴桜は“手取り相撲”になっている。大関に昇進したら10番は勝たなくてはならないという気持ちが強くて小手先で勝負している。これも“大関病”の一つかもしれない。大きな体を生かした圧倒的な相撲が見たい。10日目の一番を反省して豪ノ山を一蹴した大の里を見習ってほしい。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)