◆米大リーグ ドジャース6―4ダイヤモンドバックス(20日・米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・山本由伸投手(25)が20日(日本時間21日)、本拠地・Dバックス戦に先発し、自身5連勝をマークした。渡米後最多の100球を投げ、7回途中7安打2失点で5勝目(1敗)。19日(同20日)に日米通算200勝を達成したパドレス・ダルビッシュ有投手(37)と同じ高卒8年目にメジャー挑戦した右腕は「ダルビッシュさんのようになれるように頑張りたい」と決意を口にした。

 米国のファンが山本を認めている証しだった。5点リードの7回1死二塁。渡米後最多の100球目を中前適時打とされて降板したが、待っていたのはスタンディングオベーションだった。「すごくうれしかったです」。5試合ぶりに中6日で先発し、6回1/3を7安打2失点で自身5連勝の5勝目。カブス・今永と並び、今季の日本人投手最多の勝ち星となった。

 Dバックスとは1日(同2日)以来の対戦。前回22%を占めたカーブを12%に減らし、逆に3%しかなかったスライダーが10%と目先を変えた。最速96・8マイル(約156キロ)で「2回目で相手打者のことも、より意識して投げられた。後半になるにつれていい球もすごく増えた」と汗を拭った。

 前日19日(同20日)には、優勝した23年WBCで共闘したダルビッシュが日米通算200勝を達成した。偉業の瞬間を映像で見届け、「本当に心から尊敬している。野球の面はもちろんですけど、人としての面も」とリスペクトを込め、誓った。「僕も一年一年積み重ねて、ダルビッシュさんのようになれるように頑張りたいと思います」。同じ高卒8年目、25歳での米挑戦。現在では珍しくなくなったメジャーでの日本人投手の評価を確固たるものにした大先輩に敬意を表した。

 10日に敵地のサンディエゴで対面した際には、敵ながら日米のボールの違いなどの助言を受けた。ダルが掲げるのは「日本球界の地位向上」。ユニホームの違いなど関係なく、アドバイスをくれた。「とにかく思いやりがあり、とにかく優しいんですけど、表面的な優しさじゃなくて。本当に優しいんだなと会うたびに実感する」と由伸。祝福の連絡も送り、2人だけのやりとりが活力になった。

 デビュー戦こそ1回5失点KOだったが、10登板で5勝1敗、防御率3・17。ダルは1年目に7試合目で5勝目(1敗)を挙げたが、同じ5勝1敗から最終的に16勝を挙げた。「少しずつ近づいていけたらいいかなと思います」。12年先の未来はまだ分からないが、偉大な先輩を追い、日本野球を明るく照らす。(中村 晃大)

 ◆ダルビッシュの米1年目 レンジャーズに移籍した2012年、デビュー戦で5失点ながら初勝利をつかむなど、4月は5登板で無傷の4連勝。7登板時点の成績は現在の山本と同じ5勝1敗だった。6月で10勝に到達し、球宴にも選出された。オリオールズとの1試合のワイルドカードゲームは先発を任されたが、7回途中3失点で敗戦投手に。日本人1年目最多の16勝(9敗)を挙げ防御率3.90。トラウト(エンゼルス)の活躍もあり、新人王投票は3位だった。