◆JERA セ・リーグ 巨人1―1中日=延長12回=(21日・東京ドーム)

 開花したのか、寸前なのか。岸田がいよいよ…だ。私が監督だった17年のドラフト2位が、すでに7年目。当時のスカウトに「将来性を買ってのもの」と聞いていたが、思ったより時間がかかったな。延長11回、先頭での左前安打は曲がり球と分かっていたような捕手らしさが出た。6回先頭の右翼線二塁打は頭でイメージした通りのバッティングだろう。プロでは考えを体現できるかがポイント。2回の中前安打、4回の四球も必然に見えてきた。

 昨年から逆方向への打球が増えた。意識しているのか、バットの面を長く見せることでポイントが広くなった。結果、球を長く見ることにつながった。元々は高校日本代表の3番打者。スイングスピードや軌道、そのセンスには定評があり、ここにきてかみ合ってきた印象だ。捕手出身・阿部監督の下で一気に成長した。

 打撃に余裕が生まれ、守備にもセンスが出てきた。6回1死三塁のピンチ。1点勝負の中で打者・細川を丁寧に攻めた。山崎伊の安定感と制球力があるから「四球でビシエド」も頭に入れ、2球目と4球目には大胆に内角を突いた。相手の反応、状況をよく見ていたと思う。ビシエドはインコースを意識する中、そこからシュートで食い込ませ、詰まらせての併殺は見事だった。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)