◆パ・リーグ ソフトバンク21―0楽天(21日・みずほペイペイドーム福岡)

 ソフトバンクの栗原陵矢内野手がチームメートに“悪態”と感謝の4安打2発6打点だ。

 1打席目に先制の2点二塁打。2打席目は右中間へ1号ソロ。3打席目は左前適時打。サイクル安打の期待がかかった4打席目は右越え2ラン。“サイクル超え”で計6打点を積み上げた。

 栗原の1号ソロは今季155打席目。21年に21本塁打を放ったスラッガーにしては遅い“初日”だったが「今シーズン初ホームランが出てホッとしています。(周東)佑京さんに追いつくことができて良かったです」とシュアな打撃が身上ながら、すでに1号弾を放っていた1学年上の先輩をイジった。2号2ランの後も「周東佑京さんを超えることができました。それが良かったです」とイジり重ねた。

 試合後も「自分がゼロっていうよりも、佑京さんに負けてるっていうのがムカついたッスね。めっちゃ煽(あお)ってきたので」と話して報道陣を笑わせた。周東が「俺がホームランの打ち方を教えてやろうか」などとニヤニヤしていた様子が目に浮かぶようだ。

 しかし周東を含めたナインへの感謝の気持ちも忘れなかった。

 3打席目でサイクル安打にリーチをかけた後、ベンチは「サイクル狙え狙え」の大合唱。「狙えって言っても狙えないですからね。集中して打席に入りました」と苦笑い。7回の第5打席は空振り三振に終わり、最後の攻撃になるであろう8回は1番の打順から。ここで海野の1号ソロで1点を奪い、なおも2死一、二塁で奇跡的に6番の栗原に打順が回ってきた。

 「“僕まで回せ”みたいな。なんか僕よりもすごい気合入ってる声が(ベンチで)出てたんで。ちょっとやめてほしいなって(笑い)。緊張します(笑い)」。

 結果は左飛だったが、ナインの温かさを感じた瞬間だっただろう。

 先輩イジりと言えば、小久保裕紀監督も珍しく、あの大大大先輩を軽イジリした。王貞治球団会長が20日に84回目の誕生日を迎えたことを問われて「(会長は)守りの方は、たぶん興味ないと思うんですけど、打つ方はきょうくらい長打が出ると喜んでくれたと思います」とニヤリほほ笑んだ。

 一方、報道陣から“誕生日プレゼント”の打線爆発を問われた世界の本塁打王は「誕生日うんぬんは関係ないんだけどね」との言葉とは裏腹に、うれしそうに目を細めていた。