【パリ(23日)=吉松忠弘】男子テニスで、元世界ランキング4位の錦織圭(ユニクロ)が、2021年全米3回戦以来3年ぶりの4大大会出場に向け、26日に開幕する全仏の練習会場に姿を見せた。この日、同28位のコルダ(米国)と1時間、実戦形式の練習を行った。

 今年から錦織の移動をする前日本代表監督の岩渕聡コーチは「順調に来ている」と言うが、練習後、錦織自身は「まだ(出場は)決めてないけど」と慎重さを崩さない。「(状態は)まあ大丈夫だと思います」と話すが、もう大きなけがはできないという緊張感はある。

 実戦形式の練習は約1時間。まだ動きのぎこちなさは見えるが、伝家の宝刀バックハンドの切れ味は健在だった。バックのクロスがライン際に落ち、コルダが動けないショットもあった。

 岩渕コーチによると、「出場を決めたのは直前」。4大大会が復帰戦になることには「タイミングが悪い。ちょうど良くなるときが、このときだった」。今週の前哨戦ジュネーブオープン(スイス)にもエントリーしていたが、「ぎりぎり間に合わなかった」という。

 出場すれば、3月のマイアミオープン以来、約2か月ぶりの実戦となる。錦織の慎重さに岩渕コーチは「(慎重さは)何が起こるか分からないから。今のところは出る方向」。24日は練習をせず、この日の練習の状態で出場できるかどうかを判断する。

 パリ五輪には、本人は「出られるなら出たい」と話しており、公傷世界ランキングの48位ですでにエントリー予定。岩渕コーチも「五輪は思った以上に重きを置いているようだ」と話す。会場は、全仏と同じローランギャロス。五輪に向け、いいスタートを今大会で切れるか。

 錦織は股関節のけがから、2023年6月のプエルトリコで行われたツアー下部大会で約2年ぶりに復帰。同大会でいきなり優勝した。同7月のアトランタオープンで左ひざを痛め、今年3月のマイアミオープンまで実戦を離脱していた。今大会出場すれば、マイアミオープン以来の大会出場となる。

 この日行われた組み合わせ抽選の結果、1回戦は予選勝者と対戦することが決まった。