全国切符を懸けた静岡県高校総体サッカーは25日に準々決勝、26日に準決勝が行われる。注目は富士東(東部7位)だ。2回戦で格上の藤枝明誠(プリンスリーグ)、3回戦では袋井(西部4位)を倒し、1984年以来40年ぶりに8強入りした。DF冨永悠太主将(3年)を中心に、堅い守りで聖隷クリストファー(西部2位)に挑戦。初のベスト4、そして決勝進出を目指す。

 東部7位からの下克上。サッカー部の快進撃に、富士東が沸いている。「廊下を歩いていたら、みんなに『おめでとう!』って言われました」と冨永主将。校門には「40年ぶり県ベスト8」を伝える新聞部の「東高タイムズ」が掲示された。

 快挙を支えるのは、2戦連続無失点という粘り強い守備だ。袋井(2〇0)には4対6、明誠(1〇0)には1対9の割合でボールを保持されたが、諦めない。全員が集中力を切らさず体を張って守り、チャンスを逃さなかった。

 センターバックを務める主将のリーダーシップも大きい。1年夏からレギュラーを務めており、グラウンドにも一番早く来て練習を準備。「苦しいときには大声を出して盛り上げることを意識しています」。増田裕監督(50)も「精神的にも強い。グラウンドでの監督。あいつのチームです」と信頼する。

 仲間の声援も効いた。18日の3回戦には、グラウンドを共有する陸上部や、バドミントン部の有志約30人が応援に駆けつけて、背中を押してくれたのだ。「25、26日は両部とも県大会があるので来られない。決勝まで進んで、エコパに来てもらえれば」と主将は闘志をのぞかせた。

 そのためにも、まずは聖隷に勝つ。180センチの長身を生かしたポストプレーで攻撃を引っ張り、今大会2得点のFW大倉匠(3年)は「ワクワクします。1点取りたい。明誠に勝ったときは、うれしくて泣きました」。その感激をもう一度味わう。チーム一丸で4強入りを果たして、歴史をつくる。(里見 祐司)

 〇…明誠戦で貴重なゴールを挙げたのは、背番号18の1年生FW花井晃太朗。後半途中からピッチに立って、クロスのこぼれ球を押し込んだ。「あれが高校での公式戦初得点でした。信じられなかった」。チームの8強進出に、クラスメートからも「すごいね」と祝福された。次の聖隷戦でも「ゴールにかかわるプレーがしたい」と燃えている。

 ◇見どころ 大会2連覇を目指す静岡学園は、19日までプレミアリーグがあったため準々決勝から登場し、常葉大橘(中部2位)の挑戦を受ける。プレミアでは開幕5連敗を喫したものの、直近2試合は1勝1分けと安定してきている。プリンスリーグ東海で首位を走る藤枝東は、2戦11得点と好調。点取り屋のエースFW湯山大輔(3年)に注目だ。対する磐田東(西部1位)も3回戦では東海大静岡翔洋(中部1位)に5―1で大勝。勢いに乗っている。また、新人戦4強の浜松開誠館は、同じプリンス組の富士市立と対戦する。

  ◇女子は4強 女子サッカーの県高校総体は準決勝が25日に藤枝順心高で行われ、10時から藤枝順心と磐田東、12時から東海大静岡翔洋と常葉大橘が対戦する。決勝は6月2日にエコパで10時から行われ、優勝校が全国切符を懸けた東海総体に進む。