◆日本生命セ・パ交流戦 オリックス3―5ヤクルト(14日・京セラドーム大阪)

 オリックスの3年ぶり交流戦優勝は消滅したが、収穫は“杉本くん”だった。「完ぺきでした」と振り返る待望の一発は4点を追う4回だ。今季71打席目。奥川の初球149キロをたたいた。左中間へ豪快に1号。ダイヤモンドを一周し、昇天ポーズを披露した。

 ヤクルト3連戦では特別イベント「大阪代表バファローズ高校」を開催中。各選手が「くん」付けで高校野球風にコールされる。徳島商で1年夏に甲子園へ出場したラオウ。当時体重は70キロだった。30キロ以上もパワーアップし、30歳だった21年に本塁打王を獲得した遅咲き。今年も苦しかった。

 「いつかは出るかなと思っていた。ホームランだけじゃなく、なかなか打てなかったので…」。試合前の時点で打率2割、1打点。明るく振る舞うことだけは続け、ドーナツを75個差し入れた。「いいことをしたら、いいことがあるかな…」。一昨年の日本シリーズなど、要所で見せる計らい。一発で終わるはずがない。

 チームは7連勝から2連敗。中嶋監督は「次の打席、エッ? と思うぐらいドン詰まった」と6回の二飛に不満げだったが「もう1回、見ましょう」と期待を込めた。右太もも裏痛から復帰2試合目だった森も代打で初の適時打。光明に目を向け、前に進む。(長田 亨)