◆日本生命セ・パ交流戦 西武0―5DeNA(16日・ベルーナドーム)

 最後のアウトを奪うと、DeNAのドラフト5位・石田裕太郎投手(22)が両腕を突き上げた。西武打線を相手にわずか4安打、95球で完封するマダックスを達成。プロ初登板初先発勝利となった9日のソフトバンク戦(横浜)に次ぐ連勝を飾った。中大2年秋以来、2度目のマダックスに「正直、少し狙っていたので、最終回はやっちゃったなーって」とはにかんだ。球団では08年7月16日の広島戦(横浜)での小林太志以来16年ぶりの無四球完封にもなった。

 最速148キロの直球やシンカーをテンポ良く投げ込み、落差のあるフォークを振らせた。「ストライク先行でいけたのが一番」。8回2死から連打で一、三塁の危機を招いたが「四球と本塁打が一番良くない。安打でもいいやぐらいな気持ちで」と強気にゾーン内を攻め、奥村を三直に仕留めた。

 父の日に恩返しだ。初勝利を挙げた前回登板時は体調不良で入院していたベイ党の父・幸昌さんがこの日は応援に駆けつけた。小、中学校時代の日課は毎朝5時から2時間の練習。父の胸元以外の球は捕ってもらえない“スパルタキャッチボール”がきっかけで自然と制球力に磨きがかかった。その自慢の武器で快投を披露し「楽しみにしていた初登板を見に来られなかったので、今日はいい姿を見せられればと思っていた。出来過ぎです」と胸を張った。

 自身から始まったチームの連勝は7に伸び、4月13日以来の貯金1。「まさか勝ってここまで回ってくると思っていなかった。勝ててよかった」。生粋のハマっ子の勢いは止まりそうにない。(内藤 菜月)

 ◆マダックスとは 100球未満での完封勝利を指す言葉。抜群の制球力を誇りメジャー通算355勝を挙げたグレッグ・マダックスが、同様の完封を13度飾ったことにちなんでいる

 記録メモ ルーキーの石田裕(D)が無四死球完封勝利。新人の完封勝利は、5月15日広島戦の松本健(ヤ)が無四死球でマークして以来。球団新人の完封は、19年6月1日ヤクルト戦の上茶谷以来。無四死球完封は、67年8月20日産経戦の平松政次、88年10月2日広島戦の野村弘、08年7月16日広島戦の小林太志に次いで4人目。この日の石田裕は95球。100球未満の無四死球完封は、平松が99球、小林が95球で石田が3人目。デビューから2戦2勝となったが、球団では、18年京山が3戦3勝しているが、京山は2年目。新人デビュー2戦2勝は、石田裕が初になる。

 ◆石田 裕太郎(いしだ・ゆうたろう)2002年1月22日、神奈川県横浜市生まれ。22歳。小学3年から野球を始め、静清高では1年夏からベンチ入り。甲子園出場はなし。中大進学後は1年秋からベンチ入りし、2年秋のリーグ戦では防御率1.11で最優秀防御率に輝いた。23年ドラフト5位でDeNAに入団。180センチ、74キロ。右投右打。