◆陸上◇東海高校総体(16日・長良川競技場)

 女子3000メートル決勝で、大谷芽以(浜松市立2年)が自己ベストの9分29秒77をマークして初優勝を飾った。女子200メートル決勝では、前日の100メートルで0秒03差で2位だった佐野釉梨(静岡市立3年)が雪辱V。男子砲丸投げは、杉本紘一朗(藤枝明誠3年)が自己記録の16メートル17で初の頂点に立った。

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 思い描いていたシナリオ通りにレースを運んだ。女子3000メートルで周回中は先頭集団の後方にはりついていた大谷が、残り1周でスパートだ。後続を大きく突き放して2位に8秒48の大差をつけてゴールした。得意の1500メートル(14日)では、ラスト1周でスパートして2位となったが、あえて同じ戦法で勝ち切った。

 暑さ対策も功を奏した。前夜、岐阜市内は雨が降り、湿気が多くなる気候も想定内だった。「水分を多めにとること、なるべく日陰にいることを心がけた」。午後2時10分号砲という最も暑い時間帯のレースを克服。目標の9分20秒台前半には届かなかったものの、自己ベストで走り切った。

 憧れのOGの背中を追いかける。細江中からの2つ先輩で、同高を今春卒業した沢田結弥(18)が、今夏の米国・ルイジアナ州立大進学を控えて練習に参加。1500メートルで日本高校歴代2位の記録を持つ身近なランナーと普段から走ることで刺激を受けている。沢田は高校2年時に1500&3000メートルのタイトルをつかんだだけに「2冠したかった」と、残念がった。

 伸び盛りの2年生。「全国ではまず、決勝進出が目標です」。中3時に全国体育大会の1500メートルで3位に入った大谷が、高校の舞台でも暴れ回る。

(塩沢 武士)

 〇…佐野が前日100メートルで、小針陽葉(あきは、富士市立3年)に0秒03差で2位に敗れたリベンジを200メートルで果たした。「きょうは不安だったけど、予選から徐々に、動きが良くなった。向かい風(2・2メートル)の中、自己ベストが出たのは良かった」。中学時代から追いかけてきた小針がけがから復活。「きのう負けたのは悔しかったけど、戻ってきてくれたのはうれしい」。本番はまだ先。課題のスタートを磨いて全国で再び、宿敵と最高の戦いを演じる。

 〇…男子砲丸投げで杉本が自身初の16メートル台をマークして東海総体初制覇した。5投目に自己ベストの15メートル98を19センチ上回るビッグスロー。「投げる瞬間に目線が下がり過ぎていたので、15メートル台かなと思った」。電光掲示板に「16メートル17」が表示されると、ガッツポーズを繰り返した。投てき直前に、笑顔で右手を上げるのが杉本流のルーチン。「競技を楽しむ選手が一番強いと思う」という考えから始めた儀式。家族から「ニコ丸」と呼ばれる男が、全国では優勝を目指す。