<希望通信 それから…>10 田畠英樹さん(38)=平取町 支え合う大切さ再認識

<希望通信 それから…>10 田畠英樹さん(38)=平取町 支え合う大切さ再認識

 今年も、丹精込めて育てた大玉トマトがたわわに実った。「去年は大変だったけど、今年は落ち着いて出荷できています」とほっとした表情を見せた。

 昨年9月6日の胆振東部地震では選果場が稼働しなくなる中、農協職員らが手作業で選果してくれ、無事に出荷ができた。おかげで収入への影響はあまりなかった。選果場に明かりがともったのは2日後。「いつか必ず復旧すると信じていた。とにかく必死にトマトを作ろうと、そればかり考えていた」と言う。

 地震後、町内の親しい農家がハウス用の暖房機や井戸水をくむポンプを点検しに来てくれた。「だれもが自分のことで精いっぱいなはずなのに、当たり前のように助けてくれた。地震で支え合う大切さを再認識できた」と振り返る。

 一方で、幼稚園から小6までの4人の子どもは小さな揺れにも敏感になり、慌てて机の下に隠れ、両親に抱きついてくるようになった。子どもたちを安心させようと、家中の家具や大型の電化製品を固定し、停電に備えて家庭用発電機も購入した。次第に子どもたちも落ち着き、今は自ら枕元に懐中電灯を置いて眠るようになった。

 この土地で、子どもたちと一緒にトマトを栽培するのが今の夢だ。「今後もおいしいトマトを作り、平取ブランドを守りたい。新規就農者に農家の魅力を伝える責任もある」。父親としても、農家としても、この1年の経験が大きな糧になっている。(川崎博之)

■糖度の高いトマト作り続けたい(2018年12月8日掲載)

 札幌の実家が経営する介護会社で働いていましたが、新規就農で2015年に平取町に移住しました。今年からビニールハウス10棟でトマト栽培を本格的に始めました。

 胆振東部地震では自宅の冷蔵庫やタンスが倒れ、地震当日は子供4人を車の中で過ごさせました。9月上旬は収穫の最盛期。選果場が停電で稼働せず、無選果により値が下がって残念でした。ただ、農協職員らが手作業で出荷してくれたおかげでトマトを廃棄せずに済みました。感謝の気持ちでいっぱいです。

 地震だけでなく大雨や台風、日照不足に苦しんだ一年でした。自然災害は今後も避けられないと思いますが、より糖度の高い良質なトマトを作り続けていきたいと思います。(川崎博之)

■<記者コラム>おいしいトマトこれからも 静内支局・川崎博之

 平取町のトマト農家の田畠英樹さん(38)を取材で訪ねたのは、収穫時期まっただ中の8月初旬でした。朝から日暮れまで仕事に追われているにもかかわらず、田畠さんは時間を割いて丁寧に対応してくれました。

 取材では、田畠さんが仕事以上にご家族のことを心配していたことが印象的でした。地震で精神的に受けたダメージが大きく、子どもたちもしばらく落ち着かない様子でしたが、少しずつ恐怖を乗り越えていったとのこと。田畠さんは「家族は地震の経験を前向きにとらえています。子どもたちの成長を感じます」と目を細めました。

 お土産にいただいたトマトはみずみずしくて甘みがあり、丁寧な仕事ぶりが垣間見えました。収穫作業に向かう田畠さんの後ろ姿を見ながら、これからもずっと、大きておいしいトマトがたくさん収穫できることを願いました。



 昨年9月19日から続けてきた「希望通信」は、これで終わります。


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