県内の自治体がマイナンバーカードを活用して住民サービスを拡充している。立山町はカードで本を借りられるロッカーを設置し、朝日町はカードに現金を貯められる「チャージサービス」の導入を決めた。いずれも全国初となる。

 立山町は立山図書館にカード利用者に本を貸し出すロッカーを設置した。カードをかざすと鍵が開き、オンライン予約した本を受け取ることができる。図書館の開館時間外でも、富山地方鉄道五百石駅の営業時間内なら利用が可能で、町は利用者の増加に期待している。

 ロッカーは五百石駅と一体の立山町元気交流ステーション内の図書館前に設置した。使用するには図書利用カードを作り、マイナンバーカードとひも付けする。開錠はどちらのカードでも可能で、本を受け取った日から2週間の貸し出しとなる。返却も可能となっている。利用可能時間は午前5時半〜午後11時半。

 町はマイナンバーカードを活用した行政サービスの利便性の向上を図っており、人口に対する保有率は3月末時点で80・3%。津田利恵子図書館長は「開館時間の関係で利用できなかった人もぜひ利用してほしい」と呼び掛けた。

  ●安否確認、現金チャージ 朝日町、ラインで交流を

 朝日町はマイナンバーカードを活用した独自の公共サービスに3機能を新たに加える。全国初のカード空き容量に現金チャージできるシステムを生かした地域通貨サービス、災害時の安否確認、町外との交流アプリを導入する。町民の利便性を高めるとともに、関係人口拡大につなげる。

 博報堂(東京)と連携し、「LoCoPi(ロコピ)あさひまち」と銘打ってカードの多用途活用を1月に開始、ポイント付与サービスなどを中心に運用している。16日の町議会臨時会でDX推進事業費など一般会計補正予算案1億2418万円を可決、新サービスの準備に入る。

 地域通貨サービスは町内2カ所での現金チャージ、2施設での電子決済を試行しており、民間も巻き込んでチャージ場所、利用施設を増やして本格運用に入る。防災サービスは避難所での避難者管理や安否確認を可能にする。朝日町ファンをつくるLINEアプリを開発し、町内外の人たちの交流を促す。書かない窓口システムも導入する。