昨年12月から冬季運休していた黒部峡谷鉄道(黒部市)のトロッコ電車が19日、宇奈月−笹平間(7キロ)で営業運転を再開し、観光客が新緑の峡谷美を満喫した。秋には終点欅平(けやきだいら)が起点となる黒部宇奈月キャニオンルート一般開放を控え、関係者はさらなる誘客に期待を込めた。

 宇奈月駅で鈴木俊茂社長が「北陸新幹線延伸、キャニオンルート一般開放を追い風に宇奈月、黒部、富山県のにぎわいと発展に貢献したい」とあいさつし、武隈義一市長も地域の魅力を磨き、観光施策を推進する姿勢を強調した。宇奈月温泉の女将(おかみ)らがキャニオンルートをアピールする横断幕を掲げ、発車を見送った。

 初日の乗降客数は1390人だった。25日から猫又駅までの11・8キロを運行する。4〜5月の予約は前年並みの6万9千人、うち3万人は外国人客。外国人客はコロナ前より増えている。昨年の客数は53万6千人で今年は55万人を目指す。

  ●全線開通は10月

 能登半島地震で宇奈月駅から約14キロの鐘釣橋が損傷し、例年5月の全線20・1キロの開通は工事で10月1日ごろまで遅れる。全線開通に合わせ、キャニオンルートの一般開放も始まる。