●24年3月期決算 黒字は3年ぶり

 北陸電力は30日、2024年3月期の連結決算を発表し、純利益が568億円(前期は884億円の赤字)で過去最高となった。黒字は3年ぶり。23年に実施した電気料金の値上げに加え、前期に高騰していた石炭など燃料価格が電気代に遅れて反映され、利益を押し上げた。1日で発生から4カ月となる能登半島地震では、設備への被害を約610億円と算出、修繕費として451億円を特別損失に計上した。

 営業、経常の各利益も昨年の赤字から一転して過去最高だった。富山市の本店で会見した松田光司社長は「当社の歴史の中でも極めて巨額な損失となった。その中で、一定の黒字が出たことに安堵(あんど)している」と述べた。

 北電は23年4月にオール電化世帯と企業、同6月には国の審査が必要なオール電化以外の家庭の料金を値上げした。今回の決算では、そうした値上げによる収支改善効果が経常利益ベースで1千億円となった。

 さらに、燃料費の変動分を電気代に反映するのが遅れる「期ずれ」による差益が790億円あり、経営効率化によるプラス効果も160億円となった。

 地震による修繕費451億円の内訳は、七尾大田火力発電所が160億円と最も大きく、志賀原発130億円、配電設備70億円、送変電設備30億円などとなる。このほか、七尾大田の設備交換や電柱の建て替えなどで約160億円を25年3月期以降に計上する。

 北電によると、震災による損失額は東日本大震災以降で最大という。松田社長は「能登に大田火力や志賀原発など大きな発電所があり、被害が大きくなった」と述べた。

 今期(25年3月期)の業績予想については、経常利益は前期比58・3%減の450億円、純利益は38・4%減の350億円を予想する。