奥能登国際芸術祭(北國新聞社特別協力)の常設作品の一つで、地震で全壊した珠洲市飯田町の「さいはてのキャバレー」が解体撤去される方向となった。津波による被害もあり、大きく損傷しているとして、16日の実行委員会総会で方針が示された。正式決定すれば芸術祭の情報発信を担ってきた拠点施設が姿を消すことになる。

 珠洲商工会議所で開かれた総会では、常設作品23点について、さいはてのキャバレーを含む11点の損傷が激しく、展示を再開する場合は大規模な修繕が必要と報告された。

 実行委の担当者は、さいはてのキャバレーについて「津波が直撃し、周辺の地盤も隆起した。解体撤去が望ましい」と説明した。建物は珠洲と佐渡を結んでいた定期船の旧待合室で、2017年の芸術祭で東京のアーティストが作品として再生してからは案内所やイベント会場として使われてきた。

 大谷町のスズ・シアター・ミュージアムは大規模な修繕の対象で、敷地内の大型遊具アートは地滑りで改修が極めて難しいとした。正院町川尻のバス停のアート作品も半壊し、撤去される見通し。

 昨年9〜11月の芸術祭に関連した昨年度中の経済効果は、珠洲市内で6億5500万円だったことも報告された。泉谷満寿裕市長を実行委員長に再任した。