●県まとめ、5月末時点

  ●七尾、志賀は8割に 

 能登半島地震で被害が大きかった奥能登2市2町の事業者のうち、5月末時点で事業を再開できたのは全体の約5割にとどまることが県のまとめで分かった。被災者が生活再建を優先し、事業の立て直しが遅れているとみられ、志賀町、七尾市を含めた6市町では再開は約7割だった。県は、最大5年間無利子となる県信用保証協会の融資制度や、失業手当の一部を補助する国の雇用調整助成金の活用を促し、再開を粘り強くバックアップする。

 17日の県議会予算委員会で田中敬人氏が取り上げた。「約5割」は県が各市町の商工会や商工会議所に聞き取り調査した推計で、実数は把握できていない。

 地震前には奥能登4市町に約3200社の事業者が存在していた。再開状況は能登、穴水両町に比べ、被害のより激しい珠洲、輪島両市の方が厳しいという。一方、七尾、志賀両市町では、全体の8割ほどが再び事業活動を始めている。

 県信用保証協会は、事業者を後押しする返済期間10年、保証料免除の特別融資制度を用意している。5月末時点で保証承諾件数は906件、金額は202億円で、このうち約3割が七尾以北6市町の事業者となっている。

 石川労働局によると、雇用調整助成金は5月27日までに1970件の申請があり、このうち約6割の1241件に対して支給を完了した。2016年の熊本地震では発生から5カ月の申請は約1300件、支給は約850件で、今回はいずれの件数も上回っている。

 県は被災地の雇用を守るため、雇用を保った上で別の企業で働く「在籍型出向制度」の活用も促している。既に、奥能登の公立病院に在籍する看護師3人が4月から県立病院で勤務しているほか、和倉温泉の旅館など2事業者の約100人も別の職場で働いている。