七尾湾産の養殖トリガイ「能登とり貝」の初競りは16日、石川県漁協かなざわ総合市場で行われ、最高等級「プレミアム」(200グラム以上)1個に過去最高だった昨年の1万5千円を上回る2万5千円の値が付けられた。能登半島地震で養殖の設備が破損し、出荷量は例年の2割減が見込まれる中、養殖業者は「苦労が報われた」と喜んだ。

 この日はプレミアム1個を含む319個が出荷された。プレミアムは金沢市の鮮魚店「上島商店」が競り落とし、市村祐太郎店長(36)は「取引先に七尾の業者が多く、復興支援の願いを込めて買わせてもらった」と笑顔で話した。店頭には並べず、取引先に販売する。

 特大(180〜199グラム)が1個6千円、大(150〜179グラム)が4千円と例年より約4倍の値が付いた。能登とり貝生産組合の小泉一明組合長(74)は「地震で大変な思いをして養殖しただけに、高値を付けてもらってありがたい」と感謝した。

 能登とり貝は肉厚で程よい歯応えと上品な甘みが特長で、5、6月に最盛期を迎える。20業者が養殖しており、小泉組合長によると、養殖用のイカダやはえ縄が地震で破損したが、生育に影響はないという。今年の出荷量は約5万9千個だった昨年より2割ほど減る見込み。

 トリガイの養殖を手掛けるのは石川と京都のみ。石川産の評価は市場で高く、全体の約7割を首都圏の飲食店などに出荷している。
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