6月は、多くの生き物が繁殖期を迎えるため、いろいろな求愛行動を観察できます。

今回訪れたのは、太田川放水路の河川敷。広島市内の旭橋から新己斐橋の間を観察しました。

 

この干潟では、これからの季節、まるでダンス大会のような求愛行動を見ることができます。

案内してくれたのは、広島干潟生物研究会のくやみつおさんです。

 

太田川放水路左岸

 

広島干潟生物研究会くやみつおさん

 

踊り出す生き物とは「カニ」。「チゴガニ」は、甲羅の大きさが約2cmと小さなカニです。

真っ白なハサミを振り動かしてメスにアピールします。

 

さらに、繁殖期の6月には、胸がコバルトブルーに変化。より真っ白なハサミが魅力的な姿に…。

 

チゴガニ

 

チゴガニのハサミ振り

 

巣穴から出てきたのは「ハクセンシオマネキ」。絶滅危惧Ⅱ類に指定されている希少なカニです。

片方のハサミが極端に大きくなっているのが特徴です。

 

ハサミを上下に動かす「ウェービング」という行動がメスへの愛の表現なんだそうです。

 

ハクセンシオマネキ

 

ハクセンシオマネキのウェービング

 

夕方になると変わった行動をするカニが現れます。それは「スナガニ」。

とても臆病なので、人の気配を感じると巣穴から出てきません。

 

満潮になると巣穴が水で埋もれてしまうため、巣穴の中の砂を吐き出さなければいけません。

「スナガニ」は、固まった砂をポイっと放り投げます。

 

スナガニ

 

砂を放り投げる様子

 

太田川の干潟は、豊かな自然の中で多くの生き物が住処にしています。

広島干潟生物研究会のくやみつおさんは、生の生き物とフィールドに触れることで、自然や環境への理解を深めることができ、より身近に感じられるようになると語ります。

 

6月18日には、絶滅が危惧される「ハクセンシオマネキ」の行動観察の会を行うそうです。

 

太田川の干潟

 

広島干潟生物研究会くやみつおさん

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー』
地球派宣言コーナー(2023年5月31日放送)