広島の学校給食事情を徹底調査しました。また、物価高騰による影響が給食にも及ぶ中、どのような工夫がされているのか取材しました。

 

みんなが好きな給食メニューTOP5

 

 

【温かい給食の採用が広島市立中学校で増えている】

広島市立中学校で温かい給食を採用しているのは36校。

今年4月から温かい給食を採用している己斐(こい)中学校へ取材に行きました。

 

広島市立中学校の給食割合

 

以前は、デリバリー給食か弁当持参だったそうです。

デリバリー給食は食中毒を防ぐため、25℃以下に保つ必要があり、生徒たちは冷めたままのデリバリー給食を食べていました。

 

温かい給食が始まったことについて、生徒たちに話を聞くと、

「汁物がついてくるので、栄養的にも良いと思う」

「温かいしお母さんが弁当を作る手間も減ったので良かったと思う」と、ポジティブな感想が。

 

教師からも、「残飯が少ないし、共通の話題ができる」と好評でした。

 

2026年1月に安佐市民病院跡地に給食センターが完成する予定です。

そうすると、広島市立中学校全64校が、温かい給食を提供するようになります。

 

 

【物価高騰の影響と対応策】

学校給食は、栄養教諭が毎月会議を行い、約1年先まで献立を考えています。

単価や栄養バランスなど、さまざまなことを考慮して作られている給食にも、物価高騰の影響が出ています。

 

広島市の給食

 

広島市内にある川内小学校の栄養教諭 武田 香織さんに話を聞きました。

「物価高騰の影響は大きく出ています。給食の食材で手に入らないものが出ていて。卵と片栗粉が手に入らない状態なので、量を減らしたり、代用品を使うなどして工夫をしています」

 

卵は物価高騰の影響で、12月まで使用制限があるそうです。

揚げ物に欠かせない片栗粉は天候不良やウクライナ情勢の影響で、原料のじゃがいもが不足しており、大量注文ができなくなっています。

 

厳しい状況の中、栄養価をどう充足するか

 

現在、片栗粉が手に入らないため、コーンスターチで代用している

 

また、生徒たちにとっては楽しみの1つとなっている給食のデザートにも物価高騰の影響が…。

 

「つけたいデザートを付けられない状況になるかもしれない。デザートを付ける回数が少なくなる。250円という縛りがどうしてもあるので」と、武田さんは話します。

 

子どもたちに栄養価のある給食をお腹いっぱい食べさせたい。こうしたところに税金を使っていくべきでは、という声も多くあります。

政府は、「異次元の少子化対策」の1つとして、給食費の無償化を挙げていました。

今月1日に政府が公表した「こども未来戦略方針(素案)」では、“課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討する。”としており、給食費無償化の実施時期は明記されていません。

 

こども未来戦略方針(素案)

 

子どもたちに栄養価のある給食を提供するために、”検討”だけではなく、抜本的な改革の”実行”が必要なのではないでしょうか。

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年6月7日放送)

ライター:神原知里