岩田剛典、戸田恵梨香が送る笑って泣けるシチュエーション・コメディ「崖っぷちホテル！」

主演・岩田剛典、ヒロイン・戸田恵梨香で送る、クセ者揃いのシチュエーション・コメディ「崖っぷちホテル！」。舞台は、かつて栄華を極めた老舗ホテル「グランデ・インヴルサ」。しかし、現在の総支配人を務める桜井佐那(戸田)の父親が亡くなって以来、スタッフはすっかりやる気をなくし、衰退の一途を辿っていた。副支配人の時貞正雄(渡辺いっけい)は隙あらばホテルの身売りを目論み、料理長の江口竜二(中村倫也)は厨房で競艇三昧。バー責任者の枝川梢(りょう)は昼間から酒を飲み、清掃員の吉村尚美(西尾まり)は高級トイレットペーパーをくすねることに余念がない。ほかのスタッフも傾いたホテルを何とかしようと試行錯誤する佐那を煙たがって文句を言うばかり。

そこへちょっとおしゃれなバックパッカーのような格好をした宇海直哉(岩田)が、ひょっこりやってきたことからド底辺ホテルでの改革が起き始める。最初はホテルの中で２番目に格式高いスイートに宿泊してマイナー雑誌を大量注文し、シーズンオフなのにプールの清掃を依頼するなど、どう見ても面倒な客に見えたが、実は有名な一流ホテルの副支配人であることが明らかに。すると、時貞や事務責任者の丹沢昭人(鈴木浩介)らは態度を急変させるも、宇海がホテルの欠点を指摘し始めると今度は出ていけと怒り始める。

そんな中、彼の指摘を素直に受け止めた佐那が父から受け継いだ大切なホテルを再建するために、突然、宇海をスカウト。すると「グランデ・インヴルサ」に思い入れがあるという宇海もあっさり申し出を受けて、働くことになる。もちろん時貞らはいい顔をせず、今まで以上に佐那に反発。佐那＆宇海 vs 時貞ら従業員という対立構造が出来上がるが、佐那たちの頑張りはホテルマンや料理人としてのプライドを持つスタッフらの心を動かし、お客様を思っての行動がそのままホテル再建へとつながっていく。

しかし、佐那や宇海を含め、従業員はクセ者揃いのため、すんなりとは事は運ばない。まず宇海は何を考えているのかよく分からないし、自己顕示欲の強い時貞と丹沢や佐那の父親を慕い続ける枝川や、プライドが高く、上から目線でダルさ全開の料理長・江口は、そう簡単には指示に従わない。一方、興奮すると空気を読まずに我が道を突き進む新人パティシエ・鳳来ハル(浜辺美波)は暴走しがちで、気弱なベルマンのピエール田中(チャド・マレーン)は大失敗をしでかす。しかし、宇海によって注ぎ込まれた新風は、清掃員の阿部長吉(宮川大輔)や吉村らにかつての自分たちの姿を思い出させ、ホテルは徐々に明るさを取り戻していく。

第１話のラストで宇海が"ワクワクする"と言うが、その言葉通り、ドラマ全体にワクワク感がみなぎり、第２話以降は崖っぷち状態も楽しみの一つに。顔が怖いフロントマン・大田原大志(くっきー／野性爆弾)の笑顔の練習風景などクスリと笑える場面があるかと思えば、最後はグッと心に染みる感動ストーリーで涙腺を刺激してくれる、とても気持ちの良いドラマだ。

文＝及川静