特殊詐欺の手口は多様化し、最近ではコロナ禍の特別定額給付金の給付を装った詐欺まで出ており、警察も注意を呼び掛けています。そんな中、京急・北品川駅に貼られているポスターが、Twitterで話題になっています。そこには「多額の現金をお持ちで息子さんやお孫さんと、北品川駅でお待ち合わせのお客さま!! 伝言がございますので、駅事務室へお越しいただき、駅係員にお声がけください!」と書かれてあります。

ポスターについてツイートした@Kirishima_1255さんは「詐欺被害を少しでも減らそうとする京急の意気込みを感じたため」投稿したとのこと。「天才!」「ノーベル平和賞」など、アイデアをたたえるコメントも多く集まっているこのポスターに関して、北品川駅の太田駅長に話を聞きました。

間接的な呼びかけにしたワケ

―この看板を設置した経緯を教えてください。
北品川駅の周辺が詐欺の受け渡し場所に指定されることが多くありました。数年前には、改札の駅員の声掛けで6件の特殊詐欺を未然に防いだということがありました。
それ以降、北品川駅の特殊詐欺犯罪は減少傾向にありましたが、昨今の新型コロナの影響で接触を少なくするために、改札業務を縮小せざるを得ないという状況になりました。その中でお客様に対してのお声がけが難しくなってまいりました。
さらに、警察による防犯カメラの確認の割合も増えてきました。そのことから特殊詐欺が増加しているのではないかと思い、駅の係員が何かできる策はないかと考え、詐欺の防止ポスターを掲示することになりました。

―「特殊詐欺に注意」などの直接的な言い方ではなく、間接的な言い回しにしたのはなぜですか。
6件の未然防止の案件時に、『これは詐欺ではないか』と考え、説明をするのですが、高齢の方(お客様)の多くは「詐欺で騙されているんじゃない」と、頑なに思われていらっしゃる。それで、駅員室にご案内して警察に通報して、対応しています。
その経験からポスターの文言も配慮して、お客様の方から駅の係員に何でもいいからお声がけをして頂ければと思い、あの文言にしました。

―いつから設置されていますか。
6月からですので、約4か月経過しております。それ以降、警察からの防犯カメラの確認依頼は、皆無です。これも特殊詐欺防止に貢献できているのではないかなと思っております。

―北品川駅という場所について教えてください
2020年の実績で、北品川駅の1日の昇降人員が約7000人。これは、東京都内の京急の駅で最も少ないです。改札口も1カ所で、非常に分かりやすく眺めがいいという場所なので、手渡しの場所に指定されているのではないかなと思っています。
こういう被害に遭われる方の多くは、地方の人が多いんです。「新幹線などを使って品川駅まで来て、1つ隣の北品川駅へ来てください」という流れになっていました。
この辺りの立地に詳しくない人が(被害者に)選ばれているわけです。なので、辺りをキョロキョロしたり近くに歩道橋があるので、「歩道橋どこですか」と駅係員に聞いてきたりすると「これは!」と思い、お声がけしています。

声かけ・サポートを大切に

ーこのポスターを見た人に伝えたいメッセージはありますか。
ポスターがなくても、何かお困りのことがあれば、駅係員に気軽にお声かけして頂くのがいいことだと思っています。ですので、Twitterなどで拡散して全国的にいいことだと評価されるのは嬉しいことです。
会社として「声かけ・サポート」運動をしています。我々からお客様にお声がけもしますし、お客様からも気軽にお声がけ頂くのを大事にしたいと思っております。
「声をかけて、お断りされてもいいじゃん。空振りの三振はいいけど、見逃しの三振はだめよ」と社員には伝えています。「とりあえず積極的にいけ」と「見て見ぬふりはだめ」現在も会社全体で取り組んでいます。

ほ・とせなNEWS編集部