元プロボクサーの清田祐三さんは、かつてOPBF東洋太平洋スーパーミドル級チャンピオンまで昇りつめた選手です。現在は、北海道釧路市にボクシングジム『yuZo EBS GYM(ユーゾー エンジョイ ボクシング スクール ジム)』を開設し、会長職を務めながらボクシングの指導をしています。

地元・釧路市でのジム開設に至るまでには、不思議な巡り合わせもあったようです。プロ引退からジムを開設するまでの経緯について話を聞きました。

キッカケは「ガチンコファイトクラブ」

「高校生のときに、テレビでガチンコファイトクラブを見てボクシングに興味を持ちました」

清田さんがボクシングを始めるキッカケは、当時大人気だったテレビ番組の企画「ガチンコファイトクラブ」でした。それまでサッカーに打ち込んできたものの、ボクシングジムに通い始め、プロを目指して釧路市から上京します。

2002年11月にプロデビューすると、2008年4月にOPBF東洋太平洋スーパーミドル級王座を獲得。2013年7月13日にはWBO世界スーパーミドル級王座に挑戦したものの、惜しくも敗戦となりました。それから数試合をおこないますが、「戦う感覚に狂いを感じるようになった」と語ります。本人にしか分からない、肉体的、感覚的なズレが生じ、引退を決意しました。

2016年4月に引退した後は、鳶や解体業などの仕事をしていました。しかし「常に気分がモヤモヤした状態だった」と、何をしても情熱を持って取り組めなかったそうです。そんなとき偶然目にしたのが、ボクシングクラブのスタッフ募集の記事でした。すぐに電話をかけ、トレーナー業務がスタートします。

人に教える喜びを感じた

清田さんが、自分のジムを持ちたいと考えるようになったのは、トレーナー業務を始めてからだそう。

「自分が学んできたボクシング技術を会員さんに指導していた際、目の色が変わりワクワクした表情になったのを感じて嬉しくなりました」

もともと指導者への憧れはなかったものの、次第に人に教える喜びを感じ始めます。そして、「地元をボクシングで盛り上げたい」という思いから、ジム開設に向けて動き出すことに。ジム運営のノウハウを学ぶためにセミナーに通ったり、各ジムの会長たちに話を聞きに行ったりと奔走します。

「なかなか計画が進まずに苦労もしましたが、夢に向かって突き進んでいるという実感がありました。すべてワクワク感で掻き消されていましたね」

ジム開設に向けて悪戦苦闘するなかで、ある話が舞い込んできます。

世界初挑戦から7年の日に

「よかったらここを使ってやってみないか?」

そう声をかけてくれたのは、地元釧路にある『フラッシュくしろボクシングジム』の会長でした。そこは、清田さんが高校時代に通っていたジムでもあります。一線から退いていた会長が、清田さんの近況を聞きつけて提案してきたのです。

「実際にジムを開業するとなると莫大な資金がかかります。場所を提供してもらえたうえに、残っている設備も使わせてもらえるということで、素直に嬉しかったです」

思いがけない幸運は、開業に向けてコツコツと努力を続けてきたからこそ。「コツコツは勝つコツ」という、清田さんの現役時代からのモットーにつながります。

こうして引き継いだジムをリニューアルして、2020年7月13日に『yuZo EBS GYM』をオープン。清田さんの世界初挑戦からちょうど7年という、意義深い日でもありました。

「コツコツは勝つコツ」の精神で

オープン当初の会員数は10名程度だったものの、わずか1年半ほどで100名程度にまで増えました。会員の3分の1が女性で、年齢も小学生から60代までと幅広い層がいます。

清田さんが、会員さんたちに心掛けて欲しいと思っているのが、まず「Enjoy Boxing」です。

「どんなことでも楽しんでやることが大事です。楽しんでボクシングに取り組めば、強い気持ちが身に付き、明日への活力が湧いてきます」

もうひとつ心掛けて欲しいと思っているのが、先ほども記した「コツコツは勝つコツ」の精神です。

「目標に向けてコツコツ努力をすれば、いつの間にか達成しているものです。私もコツコツと練習を続けることで、チャンピオンになることができました。達成したときの自分をイメージすることが大事ですね。例えばダイエットでも、痩せたときの自分をイメージして続けていれば、気が付いたら痩せているでしょう」

清田さんは目標として、ジムからの「世界チャンピオンの誕生」を掲げています。ただその前には、プロ協会に加盟などの手続きも必要です。道のりは平坦ではありませんが、清田さんならコツコツと計画を進めて、次の目標も達成してしまうのでしょう!

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