コロナ禍による営業自粛や酒類制限が少し改善されたかと思いきや、円安や物価高が巻き起こり、苦境を強いられているのが飲食店だ。
食材問屋である有限会社カワカミ(東京都)を運営している川上和也さんは、円安や物価高が本格的に影響してくるのはこれからだと話す。この状況を打破すべく、今ある商品をどのように売って飲食店を盛り上げていくのか。川上さんの挑戦を取材した。

グローサラントという新しい業態

「カワカミはイタリア料理やフランス料理に使うような輸入食材を、一流レストランや個人飲食店など1000件近くの取引先に卸しています。その傍ら、経営苦になった飲食店を買い取り、立て直すお手伝いをしてきました。そんな時にコロナが蔓延したんです。そこで、食材問屋の強みを生かし、レストランで使われている食材やデリを購入できる食料品店を併設したグローサラント店舗に自社レストランをリニューアルしました」

アメリカ発祥のグローサラントは食料品店(グロッサリー)とレストランを組み合わせた造語だ。川上さんはコロナ禍をきっかけに、自社レストラン2店舗をグローサラント店舗に業態変更し、営業を続けている。

一昔前でこそ、アッパー商品と言われる大手スーパーで売ってないようなレストラン専用の食料品には見向きもしない客が多かったかもしれない。

しかし、カワカミは提供する料理や惣菜に使用した商品を記載したタグを付け、レストランではサラダにかけるオリーブオイルやビネガーを数種類用意し、客をアテンドする事でさまざまな商品を楽しめるようにした。するとレストランを利用した客が商品を買ってくれるようになり、売上は好調だという。

「物価高や円安で内容量を少なくしたり質を落とすような売り方はしたくありません。私たちは良いものをお届けする体制づくりはしっかり用意できています。さまざまな輸入食材やワインを持っている中で、今まで一般のお客さんに紹介する機会はなかなかありませんでした。ですが、使い方や味を体験してもらえれば美味しく楽しく使えるものが沢山あります」

タブレットを使用した新しいグローサラントの可能性

一方で、他の飲食店がグローサラントをやろうとすると、在庫を抱えてしまうリスクや酒販免許を取らなければいけないという問題が出てくる。取引している飲食店にも何かできることはないかー。

「飲食店の受注はすごくアナログで、FAXや電話を使っているところも少なくありませんでした。ですが、私たちはコロナがきっかけでウェブ化をかなり進めてきました。このウェブの仕組みを使って、タブレットを使用した新しいグローサラントの形を模索しています」

レストランで食事をしながら、客は食べている食材や飲み物をタブレットで見ることができ、家でも楽しみたいと思えばその場で購入できる仕組みづくりを目指している。翌日から数日後にレストランに商品が届くので、後日受け取ることができるという。

「タブレットを使ったグローサラントは、web化が進んできた今だからできる次の道だと思います。みなさんの近くのレストランで気軽にそういった体験ができるように販路を広げていきたいですね」

コロナ禍でおうち時間が増え、家で食を楽しむ時間が多くなった人も多い。レストランで美味しいものを食べた後に、家でも本格的な食材を楽しむことができるグローサラントは新たな食の形なのではないだろうか。

岡田みわ