夢をあきらめたことはありますか?今『新人オペラ歌手がどん底をきっかけに漫画家を目指した話。』というタイトルでnoteに投稿された漫画が注目されています。この作品を描いたのはちゃんぼのオペラ部屋(@cianbo_opera)さん。(以下、ちゃんぼさん)
ちゃんぼさんは現在、オペラ歌手と高校の非常勤講師として働きつつ、漫画制作・イラストレーターとしても活動しています。

高校生の時、母親から「こんな絵で漫画家になんかなれるわけない」という言葉をきっかけに漫画家になりたいという夢を隠してきたちゃんぼさん。
その後、母親の憧れだったという音楽の先生として音楽の道に進むことに。音大生のときに出会ったオペラに魅了され、オペラ歌手としての道を歩み始めたのでした。しかし、コロナの影響で収入が減り、そんなときに母親の死と直面しました。それをきっかけに、再び「漫画を描こう」と思い立ったのでした。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりオペラ歌手としての活動が縮小していたときに、ずっとやりたかった漫画の勉強を学んだというちゃんぼさん。

イラストレーターとしての仕事はInstagramのアイコン制作や、記事に使うような素材を作っています。また、ちゃんぼさんの活動を知ったオペラ関係の方から、演奏会のチラシや講演プログラムの作成などをお願いされるようになったといいます。「漫画をきっかけにオペラを発信することができる。オペラをしていたことで漫画を描く材料ができた。自分の生きがいを手助けしてくれるものに出会えた」と語るちゃんぼさん。オペラの舞台に出て、実際に感じられたことを発信できることはちゃんぼさんの強みでもあるようです。

一時は音楽の道を進むと決めたちゃんぼさん。しかし趣味でイラストを描くことは続けていたようです。
「イラストは趣味で隠れてやっていました。母親から音楽をやれと言われており、私は音楽も漫画もどちらも好きでしたが、どっちも選ぶことはよく思われなかったようで…匿名でイラストをSNSに発信していました」
“相手に喜んでもらうこと”が自分の原動力だったちゃんぼさんは音楽の道を選びましたが、親には内緒にしつつもイラストを描き続けていました。オペラ歌手として活動されているときは、漫画家になりたいという気持ちに「蓋をしていた」ようです。
しかし、趣味としてイラストを描き続けていたため、自主企画のものや大学のサークルのポスターに使うイラストを描かせてもらいフラストレーションを発散していました。

初めて描いた漫画

初めて描いた漫画『奥さま女中』は約2ヶ月かけて作成したそう。ちゃんぼさんは「コマ割りも知らないし、背景のパーツなどもいちから調べて作りました」と語ります。
当時ルームシェアをしていた友人が出版を手伝ってくれたそう。

また、ちゃんぼさんの漫画を読んだ方から「面白かったからオペラを観に行きたい」と言われたことも。オペラの業界の方からも漫画を使いたいと声がかかったこともあり、オペラ歌手としての活動と漫画家としての活動は双方に良い影響を与えていたようです。

母親の言葉がきっかけで漫画家の夢を一度あきらめたちゃんぼさん。現在の活躍を母親に伝えるとしたらどのように伝えたいかを聞いてみました。
「『元気でやってるよー』と伝えたいです。不思議な話なんですが、亡くなる前日、母親から電話がきて「コロナ大丈夫?」「あなたが元気なら私も大丈夫」と電話があったんです。それが母との最期の会話でした。だからこそ『楽しく元気でやってるよ』と伝えたいなと思います」

夢をあきらめるのではなく“一旦お休み”と考える

夢をあきらめようとしている方に伝えたいことを聞きました。
「あきらめるよりも一旦お休みと考えたら?と思います。本当にあきらめきれないことに対しては自然と身体が動いていると思うし、あとは自分の気持ちに従うだけ。瞬発力だけ失わず、今置かれている現状の中で楽しみを見つけられれば道が見えてくると思います。やって否定されることは、隠れてやるのも一つの手段だと思います」
コロナ禍や母親の死をきっかけに、漫画家への道を再度出発させたちゃんぼさん。きっかけを見つけたらそこに勇気を出して進んでいくことが夢に近づく一歩となりそうですね。

最後に、今後やってみたいことを聞いてみました。今後は大きな企画をやりたいと話すちゃんぼさんは「モーツァルトのオペラをすべて入れたオリジナルのタロットカードを作りたい」と語ります。オペラでもタロットカードを使った題材も多く、応援してくれる方の中には占い師の方も多いため、タロットカードを作りたいそう。「そのためにイラストの募集やコンサートのイベントに力を入れてます」
ちゃんぼさんの夢は今後も膨らんでいくでしょう。

ほ・とせなNEWS編集部