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2022年4月から高校の新しい学習指導要領が実施され、家庭科で「資産形成」の内容が必修化されました。実際のところ、教科書はどう変わった?具体的にどんなことが教えられる?新年度から半年以上経ち、実際に新学習指導要領の授業が実施される中で新旧の教科書の内容を比較した、一般社団法人「日本金融教育推進協会」代表理事の横川楓さんに課題点や、金融教育のあるべき姿について解説してもらいました。

(文:横川楓 @yokokawakaede / 編集:竹下由佳 @kuboyu318)

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日本銀行内の組織である金融広報中央委員会によれば、学校における金融教育の推進に重点を置いた活動が始まった「金融教育元年」は2005年。つまり、今から17年前となっています。しかし、2022年に同委員会が発表した「金融リテラシー調査(2022)」によれば、「金融教育を受けた」と認識している人の割合は約7%と、とても低い水準となっています。

実際に普段の活動の中で「金融教育を受けたことがない」という大学生や高校生にヒアリングをしていると、「クレジットカードの話は聞いたことがある」「クーリングオフという仕組みについては習った」「金融機関の方が来て授業をしていった」と、教科書の中で「金融教育」に該当する部分を習ってきているものの、それが「金融教育」だと認識していないという場合がほとんどです。

冒頭でもお話しした通り、新学習指導要領に切り替わる前の教科書にもしっかりと金融教育に関する章立てが入っています。新しい教科書でも、「金融教育」に関するページ数が以前より大幅に増えたわけではありませんが、食生活や衣服に関するページ数に比べて格段に少ないというわけでもなく、ほぼ同等です。扱うトピックとして「金融教育」の分量が少ないというわけではないのです。

それにも関わらず「金融教育を受けた」と認識している人が少ないのは、限られた時間で限られた内容しか教えることができていない、つまり難易度が徐々にステップアップしていく線の教育ではなく、点の教育になってしまっていることが大きな原因だと考えています。

高校での「家庭科」でも「公共」でも、ほかにも教えるトピックがあり、「金融教育」に充てる時間を大幅に増やすというのは難しいはず。また、そもそも高校自体が義務教育ではなく、「家庭科」や「公共」を学ぶ機会がないままの若い世代もいます。

中途半端なインプットは、リスクの大きい不確実な投資の儲け話に手を出してしまうなど、危険なアウトプットも生みかねません。

また、高校の「家庭科」や「公共」の教科書は大人でも理解しきれている人はもしかしたら少ないのではないかというくらい、とても情報が詰まっています。わかりやすい説明がなければ、数時間ですべてを理解するのは高校生には難しいはず。

成人年齢が引き下げられ、今後資産所得倍増プランのなかにNISA/つみたてNISA制度の拡充・恒久化なども含まれており、今後も“自分自身で自分の資産を増やしていく”機会は増え、引き続き金融リテラシーの大事さはさらに増していきます。

ただでさえ難しいお金の知識は、順序だてて、体系的に学んでいくことが必要です。

「金融教育がはじまった」「必修化された」というニュースで安心せず、「金融教育」を学ぶ時間の少なさを解消するためにも、誰しもが知っておくべき基礎知識としても、小学校から義務教育として体系的にお金の知識をステップアップしながら学んでいく環境を整えていくことが大事だと考えます。