ウクライナ東部4州のロシア領併合式典に参加するチェチェン共和国のカディロフ首長(9月30日撮影)

ウクライナ軍が同国東部の要衝「リマン」を奪還したことを受けて、プーチン大統領に近い政治家がSNSで小型核兵器の使用を提言した。ロイター通信などが報じた。

ロシア連邦内にあるチェチェン共和国のカディロフ首長は、同国で一般的なSNS「テレグラム」で10月1日、リマンを防衛していた指揮官を無能だとして、「前線で機関銃を持って戦うべきだ」と痛烈に批判。「個人的な意見」と前置きした上で、「国境地帯での戒厳令の発令や低出力の核兵器の使用まで、より抜本的な対策を講じるべきだ」と主張した。

AFP通信によると、プーチン大統領に忠誠を誓うカディロフ首長は「カディロフツィ」と呼ばれるチェチェン人の民兵組織を率いており、ウクライナ南部マリウポリの攻略にも関与したとされている。

■戦争研究所「カディロフの暴言は特に注目に値しない」

カディロフ氏は、プーチン大統領が部分動員の発表などで核兵器の使用を示唆する中で、足並みを合わせた。核戦争の危機を煽る発言だが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は10月1日のレポートの中で、「カディロフの暴言は特に注目に値しない」と冷静な反応だった。その理由を以下のように述べている。

 

カディロフ氏が戦術核(編註:射程距離が短い核兵器)の使用を求めたのは、ウクライナ領土をさらなるロシアの支配下に置く「特別軍事作戦」の継続要求と矛盾している可能性が高い。

現状のロシア軍は、必要な装備を持ち、歴史的にそのための訓練を行ってきたとはいえ、核で汚染された戦場で活動できないことはほぼ確実だ。現在、ロシア地上軍を構成する疲弊した契約兵、急遽動員された予備役、徴兵、傭兵の混沌とした集合体は、(放射線濃度が高い)核環境では機能し得ないだろう。

したがって、ロシアの戦術核兵器の影響を受けた地域はロシア軍にとって通行不能となり、ロシアの進攻を阻む可能性が高い。この点も、ロシアの戦術核使用の可能性を低下させる要因の一つである。