ネックス・ベネディクトさん

アメリカ・オクラホマ州で2月8日、16歳のトランスジェンダーの生徒が学校のトイレで同級生から暴力を振るわれた後に死亡した。

亡くなったノンバイナリーのネックス・ベネディクトさんは死亡前日の7日に、オワッソ高校で他の生徒と「殴り合い」になり、病院で治療を受けていた。

インディペンデントによると、ネックスさんと別のトランスジェンダーの生徒は、女子トイレで3人の年上の女子生徒と喧嘩になり、ネックスさんは殴られて地面に叩きつけられた後に頭部に重傷を負った。

母親のスー・ベネディクトさんは、ネックスさんの顔や目の周りはあざだらけで、後頭部は引っかき傷があったと述べている。

オクラホマ州では、共和党のケビン・スティット知事が2022年に、公立校の生徒に対し出生証明書に記載された性別に沿ったトイレの使用を義務付ける法律に署名した。

スーさんは、ネックスさんは署名から数カ月後の2023年初めからいじめを受けていたとインディペンデントに説明している。

ネックスさんは病院で治療を受けた後に家に戻り、頭痛を訴えながら眠りについたという。翌日、ネックスさんはリビングで倒れて病院に運ばれ、同日夜に死亡が確認された。

オワッソ公立学区は20日に発表した声明で、「生徒間の暴力は決してあってはならない」「生徒の死を悼み、家族のために祈りを捧げて、家族や関係者すべてを支えます」と伝えた。

事件を捜査しているオワッソ警察は21日、「検死の結果、死因は外傷によるものではないことがわかった」と発表。現在毒物検査の結果待ちであり、後日正式な検視報告書を公開すると伝えた。

医療関係者にトランスジェンダーの若者に自認する性に近づけるケアを提供することを禁じる法律に反対し、オクラホマ州の州議会議事堂で抗議するトランスジェンダーの権利擁護活動家たち(2023年2月6日)医療関係者にトランスジェンダーの若者に自認する性に近づけるケアを提供することを禁じる法律に反対し、オクラホマ州の州議会議事堂で抗議するトランスジェンダーの権利擁護活動家たち(2023年2月6日)

 

地元LGBTQ+団体のフリーダム・オクラホマは、ネックスさんへの暴力を「ヘイトを動機とした攻撃である可能性がある」と声明で主張し、若い性的マイノリティをターゲットにした州の法律などを批判した。

同団体は声明で、反トランスジェンダーのコンテンツを投稿することで知られる極右のXアカウント「Libs of TikTok」を運営するチャヤ・ライチク氏らが「オクラホマの子どもたちを危険にさらすように人々を導いている」とも主張している。

元不動産業者のライチク氏は、280万人以上のフォロワーがいるアカウント「Libs of TikTok」でLGBTQ+の当事者をターゲットにした投稿を続けており、投稿がきっかけで、学校への爆破予告が起きたこともある。

インディペンデントによると、2022年にはネックスさんが尊敬していたオワッソ高校の教師が「Libs of TikTok」でライチク氏に発言を攻撃された後に辞職した。

ライチク氏は20日、Xで教師を批判したのは本人が辞職した後だと述べ、自身の投稿と今回の問題との関連性を否定した。

アメリカでは、自認する性に近づけるケアの禁止や、オクラホマ州のようなトイレの使用制限まで、トランスジェンダーの若者を標的にした法律が急増している。

アメリカ自由人権協会によると、反LGBTQの法案は2023年に500件以上、2024年は437件提出や可決され、LGBTQ+人権擁護団体ヒューマンライツキャンペーンは非常事態を宣言した。

ヒューマンライツキャンペーンは、トランスジェンダー当事者への暴力増加についても警鐘を鳴らしている。同団体が2023年11月に発表した報告書では、アメリカで過去1年間に少なくとも33人のトランスジェンダーやジェンダー・ノンコンフォーミングの人たちが殺害された。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。