茨城県鹿嶋市は、目指すべき公共交通の在り方について本年度から2028年度までの5年間を対象とする「市地域公共交通計画」を策定した。鉄道や路線バスなどの複数の公共交通機関が一体的に利用できるネットワークの構築を図りつつ、低速走行電気自動車「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」の導入検討を盛り込んだ。

市は実態調査や市民アンケートを基に、現況の課題として「公共交通機関利用者が減少傾向」「バスの本数が少ない」「運転手の高齢化・不足」「観光客が利用できる交通手段が少ない」などを課題に挙げた。

その上で、市が目指す「コンパクトで安全なまちづくり」を念頭に、①市内の拠点間を自由に移動できる②スムーズな公共交通サービス③持続可能な公共交通④交通結節点の整備-の目標を掲げた。

具体的には、2路線となっている市コミュニティーバスの路線見直しやダイヤ改正や、500円または千円となっているデマンド型タクシーの料金体系の見直しを図っていく。

さらに、拠点付近の移動手段として、時速20キロ未満で公道を走るグリスロの導入を目指す。車を持たない若年層や観光客の利便性向上に向けては、人の流れや自転車の交通データを収集し、共有を前提としたシェアモビリティの導入計画の策定も進める。

このほか、市内公共交通機関のキャッシュレス決済や、人工知能(AI)を活用した効率的なデマンド型タクシーの配車サービスの導入も推進する。

市政策推進課は「高齢者が増えていく現状を踏まえ、費用対効果を考えながら、市民誰もが利用しやすい公共交通体系を形成していきたい」としている。