シャリっとした歯ざわりと、甘くしたたる果汁。つめたく冷やしたスイカは暑い日にぜひ食べたい、夏の味覚です。果物のように食べられているスイカですが、分類上は「野菜」で、「果実的野菜」とも呼ばれます。そのおいしさはもとより、スイカは夏バテ防止にもおすすめ。スイカの栄養や、おいしいスイカの選び方、甘みを均等に分ける切り方などを紹介します。


【特徴】江戸時代から日本人に愛される、夏の味覚の代表格





スイカはウリ科スイカ属。園芸学では「木の実=果物」「草の実=野菜」なので、スイカは野菜であり、農林水産省の統計でも野菜として扱われています。しかし、食べ方としては果物なので、文部科学省の「日本食品標準成分表」では「果実類」に分類。イチゴ、メロンなどと同じく「果実的野菜」とも呼ばれます。



スイカの原産地は南アフリカで、栽培の歴史は古く、紀元前4000年代のエジプトの壁画にも描かれているそう。日本へは16世紀頃、「ポルトガル人が持ち込んだ」「中国を経由して来た」など、諸説あります。



江戸時代後期には全国で栽培されるようになり、浮世絵にも庶民がスイカを食べている様子が描かれました。



明治時代以降には、優良品種の導入や改良が進み、昭和10年(1935年)には種なしスイカが誕生。その後、家庭用冷蔵庫が普及するにつれ、昭和34年(1959年)に冷蔵庫に入れやすい小玉スイカが誕生しました。



ちなみに現在では、種なしスイカは栽培に手間がかかることから下火になっていますが、小玉スイカは多種多彩な品種が生産されています。



スイカの旬は6〜8月で、夏の味覚の代表格です。5月中旬から小玉スイカが出回り始め、6月にはハウス栽培の大玉スイカ、7〜8月には露地物の大玉スイカがピークを迎え、9月には流通量が激減します。



主な産地は熊本県、千葉県、山形県ですが、全国で広く栽培されています。また、小玉スイカは栽培が比較的簡単で、日当たりがよければベランダでも育てられることから、家庭菜園でも人気です。



■形と大きさ[球状・楕円状/大玉・小玉]



形は、大きく分けて球状と楕円状があります。一般的にスーパーに並んでいる球状の大玉スイカは、Mサイズで5〜6kg、Lサイズで6〜7kg程度。主な品種に「縞王」「富士光」「甘泉」などがあります。



ただし、流通時は品種名でなく、「八街(やちまた)スイカ」「尾花沢(おばなざわ)スイカ」など、地名を冠していることも。富山県の入善町(にゅうぜんまち)の「入善スイカ」は巨大な楕円状で、15〜20kgにもなります。



小玉スイカは重さ1.5〜3kgほど。小型ですが、皮が薄いので可食部は多めです。球状の「紅小玉」「ひとりじめ」「姫甘泉」、楕円状の「姫まくら」などの品種があります。



■皮の色[縞模様・黒・緑・黄]



緑と黒の縞模様が一般的。他に、真っ黒な「でんすけすいか」「ダイナマイトスイカ」、縞模様が薄くて巨大な緑色のウリのように見える「ゴジラのたまご」、小玉で皮が黄色い「金のたまご」などもあります。



■果肉の色[赤・黄]



赤色(赤肉種)が主流ですが、黄色(黄肉種)も。黄色いものはクリームスイカとも呼ばれ、大玉で皮が黒い「おつきさま」や、小玉の「ひまわり」などの品種があります。かつては「黄色いスイカは甘みが弱い」と言われていましたが、現在では糖度の高いものが増えています。



【栄養・効果】水分やカリウムが豊富で、夏にぴったり





スイカのエネルギーは可食部100gあたり41kcal。小玉スイカの場合、廃棄率が50%なので、1玉2kgなら可食部は1kg。1/4玉で約100kcalになります。



スイカの約90%は水分で、汗で失われるカリウムも豊富に含まれます。カリウムは体内のナトリウム量を調整し、むくみや高血圧の予防に役立つ栄養素。また、血行改善やむくみ改善に役立つアミノ酸の一種シトルリンも含んでいます。



さらに、赤肉種には、強い抗酸化作用のあるリコピンも含まれていますよ。リコピンには生活習慣病の予防や老化防止、美肌効果などが期待されています。



黄肉腫にはリコピンが含まれませんが、抗酸化作用のあるキサントフィルが含まれています。キサントフィルは、生活習慣病予防、眼の疲労回復や白内障予防、脂肪燃焼効果などが期待されている栄養素です。



■スイカと天ぷらは一緒に食べちゃダメ?



「スイカと天ぷらは食べ合わせが悪い」という昔からの言い伝えがあります。



これは、冷たくて水分が多いスイカをたくさん食べると、一時的に胃酸が薄まったり、身体が冷えたりして消化機能が低下し、そこに油分が多い天ぷらを食べると消化不良を起こしやすいからなのだそう。スイカを食べて腹痛や下痢を起こしやすい人は、食べ合わせを気にしてみるといいかもしれませんね。



【選び方】まんまるでずっしり重く、縞模様がくっきりしているものを





丸ごとのスイカは、形が左右対象で歪みが少なく、ずっしり重いものが◎。縞模様がくっきりしていて、黒と緑の境目がでこぼこしているものが良品です。ツルの付け根周辺が少し凹んでいるものは甘みが強いと言われます。



スイカは追熟しないので、新鮮なものがベスト。ツルの切り口が緑色のものが新鮮で、茶色くなったものは収穫から日が経っています。



カット済みのスイカは、切り口がみずみずしく、果肉の色が鮮やかで、種が黒いものを選びましょう。種が茶色っぽいものは完熟前に収穫されていて、甘みが薄い可能性が。種が真っ黒でも周囲がフカフカして崩れているものは、食感が悪いことがあります。



■叩く音で空洞がわかる?



丸ごとのスイカを切ってみると、真ん中に“す”が入っている(=割れたような空間がある)ことがあります。これは「空洞果」といい、スイカの皮が急激に成長し、中身の成長が追いつかないときなどに起こるそう。



「実の詰まったおいしいスイカは叩いた音でわかる」という説も広まっていますが、実際には素人が音で判別するのは困難です。お店の売り物をむやみに叩くのは控えるほうがいいでしょう。



ちなみに、「スイカのプロ」である選果場では、昔から叩いた音や振動で空洞を判断してきましたが、現在ではセンサー判別も増加。そのため、空洞果がスーパーなどに流通することは減っています。空洞果はネット通販で「訳ありスイカ」として販売されていることもあります。



【保存】丸ごとなら冷暗所で保存OK。でも早めに食べて





丸ごとの場合は風通しのよい冷暗所で保存を。1〜2週間ほど日持ちしますが、だんだん甘みが弱くなっていくので、できるだけ早めに食べましょう。



また、スイカは冷やしすぎると甘みが落ちてしまうので、食べる当日に冷蔵庫の野菜室へ。冷やす時間は、大玉を半分に切ったものなら2〜3時間、四つ割りなら1時間半、小玉丸ごとなら1時間半〜2時間程度が目安です。



カットしたものは切り口にぴったりラップをして冷蔵庫の野菜室で保存を。2〜3日以内に食べ切りましょう。



冷凍保存する場合は、皮をむき、ひと口大に切って種を取り除きます。冷凍中に乾燥すると劣化するので、数切れずつラップでぴったり包んでから冷凍用保存袋へ。1か月ほど保存可能です。



食べるときは常温で5〜10分ほど置いてシャーベットとして楽しむか、凍ったままスムージーやジュースにしましょう。完全に解凍してしまうと食感が悪くなり、あまりおいしくありません。



【切り方】真ん中の甘い部分を均等に。食べやすさ重視ならキューブカット





スイカで最も甘いのは真ん中で、皮に近くなるほど甘みが薄くなります。これを踏まえて、甘い部分が均等になるように切りましょう。



■スプーンですくって食べたいとき



丸ごとのスイカを縦に6等分か8等分に、くし形になるように切ります。まだ大きければ、中心で横半分に切りましょう。



■手で持って食べたいとき



丸ごとのスイカを縦に8等分に切り、中心から放射線状に切ります。



©︎Hitoka Katagiri(イラストAC素材を加工)


■ピックやフォークで食べたいとき



スイカの皮を切り落としてから、3〜4cm四方のキューブ型に切ります。手軽に食べやすいので、パーティなどでもおすすめの切り方です。



ちなみに「種は縞模様の部分に多い」という俗説があります。必ずそうなっているわけではありませんが、種を取りやすくしたいときは縞模様の位置で切ってみましょう。



【皮の食べ方】白い部分を浅漬けや酢の物に





大玉スイカの皮は、かなりの量になりますよね。じつは、スイカは皮も食べられます。



皮を食べる場合は衛生面を考慮し、あらかじめ包丁で果肉を切り分けましょう。 外側の色の濃い皮はかたいので厚めにむいて、白い部分を調理します。浅漬けや酢の物にするとシャキシャキした歯ざわりで、ウリのような風味が楽しめますよ。ついでにゴミも減らせるのがうれしいですね。



監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。



栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。



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