前回に引き続き、今回も調達購買組織論について、最近の動向やそこからのインサイト、そしてそもそも調達購買部門は今後何を目指していけばよいか、ということについて考察を述べていきます。

前回は本田技研工業の購買組織改編について取り上げ、事業や車種別の軸を重視し、どちらかというと分散購買化する方向であることや、そのような動きが他社でも見られることを述べてきました。

今回は前回とは反対の方向とも言える組織体制の事例について述べていきます。

多くの日本企業では調達のグローバル化が遅れていました。特に自動車、電機などの一部の業種を除いては海外拠点での調達は殆ど現地に任せきり、だったと言えるでしょう。
そのため、海外拠点において、何をどこのサプライヤから、いくらで購入しているか、という情報すら共有できていないことが、つい最近までの状況でした。

一方で欧米企業においては、グローバルで集中購買をしていくことは経営にとって当たり前のことであり、それによって量のメリットを引き出し集中化、集約化によってコストの最適化
を実現しています。

昨今、日本企業においてもグローバル化の波が押し寄せており、海外企業のM&A(In-Out型)などで、海外市場拡大を実現するような業種が増えています。代表的な業種は食品、飲料や製薬などでしょう。また一部サービス業においても国内市場が飽和するなか、積極的にIN-OUT型M&Aを行っています。

このような企業ではM&Aにより海外企業を買収したものの、調達購買機能に関しては、欧米的な経営手法が徹底されており、買収された企業の方が集中購買や購買統制が効いている場合も
多く、グローバルでの集中購買メリットを自然と追及していく方向に向かいます。

そうすると、グローバルでのカテゴリーマネジメント(カテゴリー毎の戦略に基づき、サプライヤ選定やコスト削減の推進等をグローバルカテゴリーリーダーが責任を持って推進していく)を実現する体制への改革を進めている企業も少なくありません。このように、カテゴリーマネジメントを軸とした組織体制の整備を進めている企業が増えています。

それと共に、最近増えているのは、間接材調達のグローバル統制強化の動きです。直接材は事業や製品戦略に紐づくものなので、調達購買はどちらかというと分散化しスピードを重視する傾向が強いと言えます。一方で、標準となるプロセスやシステムを活用することで、集中化することによるメリットが高く、グローバルでの購買統制や見える化を、間接材購買において実現する日本企業が増えているのです。このような企業においては、間接材調達のグローバル統制に適した組織体制整備が進められているようです。

また同様に、昨今のホールディング化に伴い、ホールディング傘下にシェアードサービスとして調達購買機能を持つ企業も増えています。
しかし、多くの企業では、ホールディング傘下の調達購買機能は完全な集中購買を指向しているわけではなく、集中購買のメリットが高い品目についてのみ、集中化したり、一部のサービスの共用(シェアード化)を行っているケースが多いようです。
共用するサービスに関しては、人材育成や教育、調達システムなどのインフラの提供、様々な情報収集管理などの企画管理業務のなどが主たるものとして上げられます。

今回取り上げた事例については、いずれも集中化することによるメリットを生かすための組織体制整備が進められている、ということではないでしょうか。従来の議論では集中or分散と言った二極化した議論が多かったですが、今回取り上げたグローバルカテゴリーマネジメント組織や間接材購買のグローバル統制への対応、ホールディング傘下でのシェアードサービスなどに共通するのは、それぞれの企業がおかれた状況に対し、集中化によりメリットを生かすための組織づくりと言えるでしょう。

次回はこれまでの事例を踏まえ、今後調達部門が目指すべき方向とそのための課題について私の考えを述べていきます。