冬を迎え、新型コロナウイルスの感染が再々拡大し、夏場の第2波に続いて第3波が到来している。コロナ禍を巡っては、ある種「強制的」な在宅勤務が広がっており、以前よりチャットやWeb会議を導入・実践していた企業は問題なくコミュニケーションが取れたのだが、不慣れな企業や今回を機に初めて導入した企業は、コミュニケーションの課題が山積したようだ。

 社内会議もイベントも、手探り状態の中リモートでの実施。定例の報告会議は何となく対処もできようが、内定式や新人研修、株主総会をリモートで実施するのは少々ハードルが高かったようだ。「雑談が減った」とか、「気軽に質問ができない」「1日誰とも話さなかった」などなど、さまざまな声を聞く。コミュニケーション不足が影響して、一部では従業員がメンタル不全に陥るなどの問題もあったようだ。

 社内だけでなく社外との会議、営業活動などもリモートで行うことが頻繁にされている。こちらも、もともとやりとりがあった取引先などであればよいが、初めての打ち合わせでは、なかなかリモートだとやりづらいこともある。中にはいったんビジネスを止め、「落ち着いたらリアルで会いましょう」というような約束をした方も多かったのではないだろうか。

 多くの人がそんな経験をしながら、ある程度リモートに慣れたところで、フルリモート勤務は解除し、出社率を上げる機運も高まってきている。多くの企業は、週1〜2日の在宅勤務を軸としているようだが、企業によっては、ビフォーコロナの時代に後戻りして、「原則出社」としたところもあるようだ。

 そこで出てきた現象が、オフラインでの会議、オフラインでの接客への「回帰」だ。つまり、なかなか慣れないリモート会議を中心としたビジネスのオンラインシフトを諦め、リアルの場へと回帰する企業が出ているのである。筆者としては、オンラインを使い倒すことなく、リアルへと回帰してしまうは、実にもったいないと感じる。確かに、リアルの方が優れている点はある。だが「楽な方」という理由で、リモートを使い倒さずしてリアルを優先するのは、デジタルトランスフォーメーションが一種のバズワードと化している今、非常に残念な現象だと思う。

●Web会議システムで議論を活発化するには

 ここでは、既に普通になっているWeb会議システムのメリットをあらためて考えてみたい。まずは、参加者が平等に掲載されるという点である。オフラインの会議では、座る場所によっては、端っこになってしまったり、顔が見えづらいなどの影響が出てしまう。また、その人の持つ雰囲気、オーラに影響を受けるケースもあるかと思う。何となく苦手な同僚や怖い上司、こうした人に気おされて意見しづらい、という経験をした人もいるのではないだろうか。

 一方、Web会議では、参加者全員の顔が、ほぼ同じ大きさで表示される。雰囲気などは伝わってこず、全ての人が平等に参加している状況となる。場の空気、雰囲気に影響されることなく、臆することなく発言ができることもメリットだ。逆に、全く発言しない人がいれば、目立つ。リアルの場だと、陰に隠れて、発言をしなくても目立たないが、Web会議だと、そうはいかない。このように、議論が活発になされる点もメリットに数えられる。

●チャット機能も使ってみよう

 議論を活発化するにはチャット機能の活用も手だ。オフラインの会議では、参加者の意見をその開催時間中に全て拾うことは、時間の制約もあり、難しい。また、先に記したように、場の雰囲気により、なかなか発言することが難しい場合もある。

 一方、Web会議であると、誰でも同時にチャットに書き込むことで意見を発信できる。同時に、誰でも、瞬時に意見を発信できるのである。そして、それをそのまま記録に残せるので、書記も要らない、というのも大きなメリットである。書き込まれたものを全員が眺め、必要なもののみピックアップして、さらに議論を深めることもできるだろう。

 また、録画ができるのも便利である。これまで、会議を録音して、参加していないメンバーに聞いてもらうことはほとんどなかったといえる。あったとしても、書記が記録した議事録を事後共有することくらいだろう。ただ、合間の会話を記録することはないだろうから、全体感は理解できても、細かい議論の経緯などは理解することが難しかった。一方、Web会議システムでは、細大漏らさず当日参加した場合と同様の状況が共有できる。これも、オフラインではあり得ないメリットである。

●表彰の演出にも使ってみると……

 Web会議システムがもたらすのは、会議の効率化や活発化だけではない。例えば社内イベント、特に社内表彰などをWeb会議システムで行えば、表彰のタイミングで、表彰者に対して、社員がメッセージを発信できる。これまでやっていたような、オフラインで行う表彰式のような場では、できない演出だ。そのメッセージを表彰者、イベント参加者が見て、感動を深めていく――そんなことも期待できる。

 筆者は仕事柄、講演をすることが多い。従来のオフラインで行う講演では、日本人は奥ゆかしいということもあるのか、ほとんど質問や意見は出なかった。しかし、ウェビナーとなるとかなり変わってくる。他人の目を気にすることなく、また、キーボードを打ち込めばすぐにメッセージが投げかけられるので、最近では数多くの意見や質問が寄せられるようになった。目立つことを好まない日本人にとっては、発言の場として、このチャット機能は大変親和性があるように思う。

リモートで難しいのが「タイミング」

 Web会議システムでは、おのおのが自由に発言できるのがメリットであるが、裏を返せば、発言しているところに被せて発言することは、マナーとして好ましくない。そのためどこで発言を差し込むか、というタイミングの取り方が難しい。筆者もリモートで数多くの取材をしてきたが、コツは、相手の話し方の特徴を短時間で見極めることだといえる。また、話している内容から、「ここで終わるだろう」という直前に、発言を差し込むのだ。そうすることで、リモートでもテンポよく会話を進められるだろう。

●総務に必要な姿勢は、「とにかく最大限使ってみる」

 このように、Web会議システムには便利な点が数多く存在する。慣れていないと、最小限の機能のみ使い、その場をやり過ごすことになりがちである。もっと、好奇心を持って、いろいろな機能を使い倒してみることが、特に、総務にとっては必要な姿勢であると筆者は考える。

 現場の仕事の効率化を支援する総務としては、自ら、いろいろな機能を試し、その使い方と、使うことのメリットを社内に告知する役目があるはずだ。そして、あらゆる機能を使い倒し、その上で、やはりリアルの場のほうが優れているものは何なのか、それも含めて、社内に告知していく――こうした態度が望ましい。

 どちらが良い・悪いではなく、どのようなケースだとどちらが優れており、こちらを使いましょう、そんな具体的なビジネスのシーンに照らし合わせて説明していく。総務で必要な姿勢は、食わず嫌いはあり得ず、一度食べたら、骨までしゃぶる、そんな姿勢である。

(豊田健一)