本連載は、国内外のPR事例メディア「PR EDGE」(運営:株式会社PR TIMES)より、注目を集めた事例をランキング形式(※PR EDGE上のPV準拠)で紹介していくものです。

 2020年の日本の広告費は6兆1594億円(電通調べ)と、9年ぶりのマイナス成長になりました。一方で、わたしたちの周りには日々さまざまなクリエイティブがあふれています。

 「PR(Public Relations)」とは、広告の在り方を拡張するような新しいアイデアや、心に響き、価値観や行動にまで影響を与える可能性を秘めたものだと捉えています。「PRの中にも宣伝があり、広告やクリエイティブ、プロモーションにもPRが必要」――これがPR EDGEの始動理由でもあります。それではPRの世界の旬な事例をワンポイント解説付きでお届けします。

●著者プロフィール

【大原絵理香】PR/広報。CHOCOLATE Inc.所属。米NJの大学でPRを学んだのち、外資系ゲーム会社に勤務。その後、ホールディングスカンパニー、一部上場企業、ベンチャー企業、代理店など様々なレイヤーでPR/広報に従事。2020年11月よりPR EDGE編集長。

●5位:【LINEドラマ】家族のLINEがしんどいw

【クライアント:LINE 公開日:2021年1月】

 ある家族のLINEでのコミュニケーションを中心に描いたドラマには、長文を送りがちな父、誤字の多い母、など、たくさんのあるあるがちりばめられています。

 最近は商品やサービスを訴求するだけのCMではなく、ドラマなどのコンテンツとしてWeb動画を作り、ブランド自体のファンを増やそうとする企業が増えてきていますが、このLINEドラマもその流れの一つといえるでしょう。

●4位:#受験メイト2021

【クライアント:大塚製薬 公開日:2021年1月】

 コロナ禍により、前例のない状況に直面した21年の受験生。彼らにエールを送るのが「#受験メイト2021」です。この1年、多くの誰かや何かを応援するためのPR事例が作られてきましたが、受験生にターゲットを絞ったのは、受験シーズンと、そして受験生の間食や夜食のおともとして長年受験生に寄り添っていたカロリーメイトだからこそでしょう。

●3位:ハイネケンのシャッターアド

【クライアント:Heineken 公開日:2020年12月】

 主要取引先だったバーを応援するために、営業自粛中の店舗のシャッターにHeinekenの広告掲出を行った事例。協力店には掲出フィーを支払う仕組みになっています。街中の広告はコロナ禍において、従来の効果を発揮することが難しくなりましたが、そうした中での工夫が光ります。

●2位:「ピッカピカの一年生」新CM

【クライアント:小学館 公開日:2020年12月】

 「大きくなったらなにになりたいの?」「社長です」など、自然体の子どもたちが見られる「ピッカピカの一年生♪」というメロディでおなじみの、児童学習誌。

 小学館の担当者による「子どもたちが入学するころの春爛漫の風景をイメージしてもらうため、あえて春になる前の景色のなかで撮影している」というお話は、決して本筋ではないことは分かりつつも情緒があると感動しました。

●1位:「年賀状の天ぷら」や「煉瓦状」などユニークな年賀状

【クライアント:人間 公開日:2021年1月】

 「株式会社人間」という社名からしてインパクトのある企業による恒例企画。「飛び出す年賀状」(2011)、「スパム年賀状」(2012)、「ハリセン型会社案内」(2013)、「ミニ人間ゲーム」(2014)、「人間新聞」(2015)、「妖怪ごみあしコスチューム」(2016)、「不在連絡票型年賀状」(2017)、「年賀状の天ぷら」(2018)、「煉瓦状」(2019)、「はやすぎる年賀状」(2020)と、10年間大真面目にふざけてきました。過去作一覧と背景をまとめた記事が1月の1位でした。

●屋外で必ず目にする「OOH」

 PRの世界にも、他の業界や職種同様に専門用語があり、初めてその単語を聞いたときには全く意味がわからなかったものの一つに「OOH」があります。これは、「OUT OF HOME」の略で、いわゆる屋外広告や、駅の中などで目にする交通広告のこと。OOHは、ここ数年、日本はもちろんのこと、世界的なトレンドとして注目されており、その収益額も大きく成長を見せていました。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出の制限や自粛などが余儀なくされ、一気にその存在意義が薄れてしまいました。街からはOOHが消え、白地になったり、「広告募集中」という言葉が並んでいたりします。

 その中で、先ほどの「Heineken」のように、空白を活用している事例が生まれてきています。例えばスシローは、人通りの減った渋谷で、回転寿司レーンを模したディスプレイに映像を流すという“渋谷ジャック”をしました。

 他にも、広島出身者への帰省支援を逆手にとり、「みなさんの帰る場所は、絶対、無くなりゃあせん。じゃけぇもうひと踏ん張り、一緒に頑張ろうや。また会えるのを、待っとるけぇ」とコロナ禍ならではの言葉を描いた企画も注目を集めました。

 このように、OOHでも、ビフォーコロナでは考えられなかったような、ニューノーマル時代の新たな活用方法が生まれ、少しずつではありますが街に活気を戻してくれるようになるかもしれません。