コロナ禍で多くの外食チェーンが苦戦する一方、「スシロー」の快進撃が止まらない。

 スシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESは5月6日、2020年10月〜21年3月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高にあたる売上収益は1190億4200万円(前年同期比10.1%増)、営業利益は131億1400万円(同59.2%増)、純利益は77億6000万円(同52.7%増)だった。上半期の業績としては、売上収益、各利益ともに過去最高を記録した。好調の要因はどこにあるのか。上半期の施策を振り返る。

 売り上げが伸びた主な要因は、スシローの新規出店を積極的に進めたことだ。国内では上半期で合計24店舗を出店。内訳は、「To Go型」(持ち帰り専門店)が3店舗、都市型が5店舗、通常型が16店舗だった。

 To Go型の店舗は、コロナ禍で拡大するテークアウト需要に対応する役割がある。駅ナカや駅前ビルといった、既存のスシローではカバーしきれない立地に出店するのが特徴。上半期にオープンした3店舗はいずれも駅の改札から徒歩1分以内にある。専用商品も販売しており、想定を大幅に超える売り上げを記録しているという。

 都市型店舗は、計25店舗まで増えている。3月に開店した「新宿三丁目店」(東京都新宿区)は、都市型で最大級の208席という規模だ。オープン初日には1000人以上が来店し、初日としては過去最高の売り上げを達成した。4月には西日本最大級の繁華街に「梅田茶屋町店」(大阪市)をオープン。今後も、首都圏や関西圏の都市部への出店を続けていく方針だ。

●既存店も好調

 売り上げ増の要因は新規出店だけではない。既存店も好調だった。

 国内の既存店売上高は上半期全体で前年同期比1.7%増だった。コロナ禍の影響で営業時間などに制限があったため、イートインの売り上げは前年を下回った。一方、テークアウトやデリバリーの売り上げが伸長した。

 テークアウトの売り上げを伸ばすため、同社はスシローの店内に土産ロッカーを設置。118店舗(全店の20%)に導入している。このロッカーは、専用のアプリなどで事前に注文・決済すると、店員と接触することなく商品を受け取れるのが特徴。好きな時間に受け取ることができる利便性を提供している。9月までに150店舗以上に設置する計画だ。

 店員と接触することなく、お客を席まで案内できる「自動案内」システムの導入も進めている。20年4月に導入していたのはわずか6店舗だったが、21年3月には308店舗にまで増加。9月には400店舗以上に導入する計画だ。

 これらの非接触を実現する設備やシステムは、店舗の人手不足を解消する手段として導入が進んできたという側面もある。それが、コロナ禍で顧客に支持される要因になった。

 デリバリーに関しても、新しい取り組みを進めている。ウーバーイーツや出前館といったデリバリー業者がカバーできないエリアを中心に、自社デリバリーサービスを29店舗に導入した。

 こうした取り組みを進めた結果、イートインの売り上げが半分程度になる店舗もあったという。

●「480円皿」や「980円皿」が好調

 既存店の成長を支えた要因は他にもある。

 まず、「Go To 超スシロー PROJECT」などのキャンペーンが好調だった。また、「480円皿」や「980円皿」の売り上げ比率が上昇。20年上半期は高額皿の売り上げ比率は1.4%だったが、21年上半期は3.2%となった。

 980円皿は以前から販売しているが、480円皿は上半期から本格的に導入し始めた。具体的には、しゃり4貫に穴子を丸ごと1本乗せた「穴子一本勝負」や、「とろ鉄火の高菜巻」などを投入。店内放送を積極的に活用して販促することで、雰囲気を盛り上げ、売り上げを伸ばした。この方法は、飛沫を飛ばさないというメリットもある。

 海外事業では、タイへの新規出店を果たした。大型ショッピングモールにスシローの店舗としては最大の350席を備えた1号店を3月にオープン。初日には1012人が来店し、250万円の売り上げを記録した。コロナの影響で海外の出店ペースは鈍っているが、下半期で巻き返しを図る。

 国内では、多くの店舗が時短営業を強いられている。しかし、4月における既存店売上高は前年同月比179.6%だった。コロナの影響を受けていない2年前の4月と比べても99.9%という水準だ。スシローはどこまで成長していくのか。