コロナ禍の影響を受け、大手コンビニ各社のおにぎりの売れ行きに“ある”変化が起きている。

 セブン‐イレブン・ジャパンによると、感染が本格的に拡大した2020年3月以降、三角形の手巻きタイプに代表される通常おにぎりの売り上げは、客数減の影響で大きく苦戦。売り上げが前年比100%を下回る状態が続いていた。一方、原料や製法で通常おにぎりと差別化した「こだわりおむすび」のカテゴリーは、20年3月以降の売り上げが前年比100%を上回り続けた。

 こだわりおむすびとは、「新潟県産コシヒカリおむすび 熟成焼たらこ」(162円)や「新潟県産コシヒカリおむすび 鮭ハラスの焼漬け」(194円)などのことを指す。

 なぜ、こだわりおむすびはコロナ禍でも売れたのか。セブンは、外出自粛や在宅勤務の普及により、自宅で過ごす時間が増えたため、「より豊かな食生活を望んだり、プチ贅沢(ぜいたく)をしたいと考えたりするお客さまが増えたからではないか」と分析している。

 また、健康志向が強まったことから、もち麦が入ったおにぎりも通常おにぎりより好調だったという。

●ファミマやローソンも高価格帯が好調

 ファミリーマートも、20年10月に発売した高価格帯の「ごちむすび」シリーズが好調。21年3月15日時点で累計販売数が4000万食を突破した。定番の鮭やいくらに加えて、「ほたてバター醤油」など3種類を3月16日に発売した。

 同様の傾向はローソンでも見られる。同社は高級おにぎりシリーズの「金しゃりおにぎり」を展開している。コロナ禍の前から支持されており、おにぎり全体の売り上げランキングの上位に食い込んでいた。感染が本格的に拡大しても苦戦した他のおにぎりと比べ、好調だった。主に、高価格帯でもおいしさを求める50代のお客が購入したという。

●セブンは商品の「質」を追求

 本格的な感染拡大から1年が経過した。コロナとの付き合い方に慣れてきた人も多い。今後、ワクチン接種をする人が増え、気温も上昇してくることから、消費マインドは徐々に上向いてくるとセブンは分析する。そこで、お客の支持を得るため、商品の「質」をさらに高める方針を掲げる。

 その方針はおにぎりにも当てはまる。コロナ禍でも好調だったこだわりおむすびを強化するため、4月に「こだわり手巻おにぎり 辛子明太子」(199円)と「こだわり手巻おにぎり 黒毛和牛のしぐれ煮」(213円)を相次いで発売した。

 新商品のおにぎりには、「摘み回数」を指定した有明産の海苔(のり)を使用している。のりは、育ってから数回に分けて摘んでいくが、最初に摘んだもののほうは食感が柔らかく、香りが良いのが特徴だという。そこで、摘んだ回数が若いものを指定して、使用している。

 辛子明太子のおにぎりは、具材の製法にこだわっている。「手返し製法」を採用しているのも特徴だ。大きな容器にまとめて漬けるのではなく、比較的小ロットで漬ける。人の手で丁寧に裏返しながら漬かり具合を調整し、辛子明太子の皮が破れたりつぶれたりするのを防いでいる。

 しぐれ煮のおにぎりには、専用工場でじっくり煮込んだ黒毛和牛を使用しているのが特徴だ。

●ローソンは“非接触”のおにぎりを投入

 おにぎり全般の売り上げが落ち込んだのは、コロナ禍による客数減の影響が大きい。ただ、ローソンでは手巻きおにぎりが他のおにぎりより動きが鈍かった要因として「手で巻きたくない(衛生面)などの心理的な影響があったからだとも考えられる」(広報担当者)と分析。新しいアプローチのおにぎりを投入している。

 同社は3月30日、「スティックおにぎり だし香るひれかつ」と「スティックおにぎり チキン南蛮」(いずれも180円)の2品を発売した。この商品は、フィルムをはがしながら食べ進めることが可能で、直接手を触れずに済むのが特徴だ。また、リモートワークが普及する中、「ながら食い」が増えたことにも着目。忙しい時でも手軽に食べられるようにしている。

 コロナ禍で消費者の行動が大きく変わる中、コンビニ大手各社は、新しい“おにぎり戦略”を打ち出している。