日本労働調査組合(東京都足立区)は、2回目の緊急事態宣言(2021年1〜3月)後に「緊急事態宣言解除後の退職動機に関するアンケート」を実施した。退職を検討している人は44.0%で、その中で緊急事態宣言やコロナウイルスが影響したと回答した人は59.1%に上った。

 21年3月に実施したアンケートでは、「退職・転職の意向がある」人が35.8%だったが、翌月に実施した当アンケートでは44.0%となり、8.2ポイント増加した。新年度でも緊急事態宣言の影響を感じる結果となり、ウイルスがもたらした社会の変化で、自身の将来や働くことについて考える人が増えたようだ。

 退職を検討している人に、その理由を質問したところ「緊急事態宣言の影響」が34.3%、「コロナウイルスの影響」が24.8%、「緊急事態宣言/コロナウイルスの影響とは別の理由」が40.9%であった。

 男女別でみると、緊急事態宣言の影響で退職を検討したと答えた男性は44.3%、女性は55.7%。コロナウイルスの影響で退職を検討したのは男性が56.1%、女性が43.9%、別の理由で退職を検討したのは男性が52.1%、女性が47.9%となった。微差ではあるものの、より男性がコロナウイルスの影響を感じていて、より女性が緊急事態宣言の影響を感じていることがうかがえた。

●会社で働き続ける懸念や不安

 今の会社で働き続ける懸念や不安は何か、という質問では「給与・待遇不満」(36.5%)がトップ。次いで「収入不安」(28.1%)、「職場の人間関係」(19.3%)であった。21年3月に実施した仕事の退職動機に関するアンケートでは、「職場の人間関係」が「給与・待遇不満」と同率1位であったが、今回は「給与・待遇・収入」が上位を占めた。

 終わりの見えないコロナウイルス社会で、より安定した雇用状況を求めていることが分かる結果となった。男女別の退職検討理由を見ると、男女ともに1〜3位までは全体と変わらなかった。男性の4位は「懸念や不安はない」に対し、女性の4、5位は「ワークライフバランス」と「自身の健康」であった。男性はお金以外はあまり気にしていないが、女性はお金以外にもさまざまな要素があるようだ。

 仮に退職をする場合、懸念や不安は何かという質問では、1位が「収入不安」(39.8%)、2位が「転職先が見つかるか」(36.5%)、3位が「転職活動の手間」(27.2%)だった。今の会社で働き続ける場合の懸念同様、転職先でも希望給与がもらえるか、そのような職場があるかが不安な様子が見られた。

 一方で「転職活動の手間」(24.1%)、「転職先とのミスマッチ」(23.8%)という声も多く、転職に対する労働者のネガティブさが見えた。性別比率では、男性の1位は「収入不安」で35.6%、女性の1位は「転職先が見つかるか」で45.4%と、女性は全体の1〜2位と逆の順位になった。女性が置かれている状況は、コロナ禍で仕事が見つかりにくい実態がうかがえる。

 今回の調査結果では、コロナ禍で労働者のお金に対する不安・不満が分かる結果になった。雇用主側は、明確に給与・待遇改善の道筋を明示し、従業者のお金に対する不安を解消し、安心して働く環境を作り出すよう適宜コミュニケーションを行うことが必要であると日本労働調査組合は分析している。

 今回の調査は、全国の20〜49歳の会社員を対象にインターネット上で実施した。調査期間は4月1〜4日で、有効回答数は523人。