freeeは12月1日、改正電子帳簿保存法における優良電子帳簿の要件を満たすアップデートを2022年1月に提供すると発表した。従来、freee会計はプランによって対応状況に違いがあったが、このたび全プランで優良電子帳簿の要件を満たす。事業者側は、優良電子帳簿対応すると過少申告加算税が5%軽減される税メリットがある。

 電子帳簿保存法は、企業が国税関係帳簿を電子化して保存できることを後押しする法律だ。領収書や請求書などの書類をスキャンして電子データで保存するのは、これまでも可能だったが条件が厳しく、実質的に難しかった。2020年時点で、スキャナ保存制度に対応している事業者は0.03%しかいなかった。

 22年1月に行われる改正で、事前の税務署承認が不要になるだけでなく、細かなプロセスも簡略化され、電子化が容易になる。「電帳法改正で、完全ペーパーレス時代が到来する」とfreeeの佐々木大輔CEOは期待する。

 書類の電子化は日本が海外に比べて遅れていた部分だ。海外各国では、紙のレシートをスキャンして電子化し保存するのが当たり前。フランスのように、消費者が要求しない限り紙のレシートを発行してはいけないという国もある。

 これまでの電子帳簿保存法では、「電子化に伴って不正が起こるものだ」という性悪説に立っていた。それを大きく変えるのが今回の改正だ。経産省で立案に携わった廣田大輔氏は「性悪説からリスクアプローチに舵を切った。不正のペナルティは重くする、その代わりまっとうにやる人の手続きは簡素化する」と、改正の背景を話す。

●freee経費精算も単体提供

 改正電子帳簿保存法の導入に併せて、これまでfreee会計でのみ利用できた経費精算機能とワークフロー機能の単体提供も12月1日から開始する。価格は1IDあたり550円と「業界最安だ」(プロダクトマネージャーの小泉美果氏)という。

 電子化が容易になるなか、会計ソフトの導入までは考えないものの、経費精算については電子化に対応したいというニーズに応える。他の会計ソフトとの連携も可能だが、freee会計導入の入り口となることを狙う。

●優良電子帳簿のインセンティブ効果

 会計重要書類の電子化が進む中で、事業者が取り得る選択肢は3つだ。1つは紙で保存する従来通りの方法、2つ目は、緩和された要件にのっとって会計書類を電子で保存する方法、そして3つ目がより厳しい要件を満たし、税務署へ届出をすることで優良電子帳簿とするものだ。

 優良電子帳簿には、過少申告加算税が5%軽減されるという税メリットがある。過少申告加算税とは、掲載間違いなどで収める税金が少なすぎた場合に行う修正申告において、追加でかかる税金で、通常税金の10%。これが5%減るというわけだ。つまり、税計算に問題があったときの罰則が多少軽減されることになる。

 ただし、例年、過少申告加算税を支払うことになった事業者は3万事業所程度で、400万事業者といわれる全体からするとわずかな比率だ。freee側でも「もしもの時の保険」という表現を使っている。

 「実際に想定されるメリットは小さくなってしまうケースもあるが、一つの切り口になっている。紙のほうがコストが低く電子の方が高かったところから、電子でやったほうがメリットがあるというのが重要だ」と佐々木氏。実際、倉庫の中から紙を探し出す手間とコストを考えると、検索性の高い電子のほうが圧倒的に楽だ。電子帳簿のメリットの根本はここにある。

 それでも、行政側が電子化を推し進めるインセンティブとしては、若干弱い。企業間取引の書類の電子化は、自社だけで完了するわけでなく、相手もあるからだ。

 廣田氏は、「スキャナ保存の手続きをなんとかしたいというところから始まっている」と法改正の狙いを話し、今回はインセンティブの踏み込んだ議論までは行っていなかったようだ。しかし「やっぱり紙でください」という電子化に逆行した話もある現在、現場からはインセンティブの強化を望む声もある。