ワタミは12月9日に、新ブランドとなる寿司と焼き鳥を主力とした「すしの和」1号店を東京都内にオープンすると発表した。ウィズコロナ時代の新しい外食ニーズに対応するのが狙いで、寿司業態に参入するのは初となる。

 すしの和は、握り寿司、焼き鳥、鍋物、おつまみ、アルコールなど全102アイテムを提供する。ソフトドリンクや、子ども向け握り寿司セットなども用意しており、大人から子どもまで楽しめる店舗を目指している。

 例えば、マグロの赤身やカツオといった握り寿司は1貫96円から提供する。焼き鳥としては、「大山どり4種の串盛合せ」(858円)や、「鶏つくね 3種盛」(858円)などを用意した。冬限定の鍋物ものでは、海鮮ちゃんこ鍋を1人前1078円で提供する(注文は2人前から)。おつまみ的なメニューとして、363円のフライドポテトなども扱う。子ども向け握り寿司セットは693円となっている。

●居酒屋から業態を転換する

 ターゲットはファミリーを中心としているが、会社員や友達同士の利用も見込んでいる。現在苦戦している居酒屋から業態を転換するため、店舗は主に駅前型(住宅地に近い駅)を想定している。在宅ワークが進んだり、会社内での飲み会が減ったりしているため、東京・新橋のようなビジネス街における出店は考えていないという。

 コロナ禍においてそれほど客足が鈍らなかった寿司業界に注目したわけだが、回転寿司とは違う戦略を採用する。同社の分析では、郊外にあるファミリー層を狙った回転寿司は、平均滞在時間が40〜50分となっている。一方、すしの和は、平均滞在時間を90〜120分と見込む。

 すしの和は日本酒なども充実させているので、「寿司居酒屋」にカテゴライズされるのだろうか。この点に対し、ワタミの渡邉美樹会長は「寿司居酒屋ではなく、寿司居食屋(いしょくや)だ」と強調した。あくまで、「寿司を軸にいろいろな食事を提供する団らんの場」(渡邉会長)と位置付けている。

 すしの和は、主に居酒屋業態店舗からの業態転換により出店を進める。2021年度は1店舗、22〜23年度は30店舗の出店を見込む。30店舗までは直営とし、ある程度運営に慣れてきたらフランチャイズ化も検討する。

●コロナで苦戦する居酒屋事業

 感染拡大前の19年、ワタミの居酒屋業態は「鳥メロ」や「ミライザカ」など450店近くあった。しかし、コロナ禍の影響で、居酒屋業態は時短営業・酒類提供の自粛などを求められ、大きく苦戦することになった。

 居酒屋中心の経営から脱するため、現在、ワタミの居酒屋店舗は280店まで減った。一方、新たに開発した「焼肉の和民」などの焼き肉店は32店、持ち帰り主力の「から揚げの天才」は108店まで増えている。同社が寿司業態に参入するのにはこういった背景もある。今後、から揚げや焼き肉といった新業態の開発には一区切りをつけて、各業態の店舗数を増やすことに専念する。

 現在、ワタミの外食事業はどうなっているのか。21年11月、駅前を中心に展開する居酒屋業態の売り上げは19年比で55%と大きく苦戦している。一方、郊外を中心にファミリー層を狙った焼き肉の「かみむら牧場」の売り上げは好調だ。居酒屋業態の宴会予約獲得状況は、11月に入って回復してきたが、変異株「オミクロン」の影響で12月は低調だという。今後も、居酒屋業界はコロナに翻弄され続けることが想定される。

 新しい寿司業態はウィズコロナ時代に支持されるか。