GWが過ぎ、暑い日も増えてきた。今回はシーズン本番前に、エアコンの最新事情と、そして昨今のエアコンを取り巻く状況などを解説する。

 気象庁の暖候期予報によると、今年の夏は、沖縄・奄美を除く全国で例年よりも気温は高くなるという。降水量は平年並みなので、晴れる日が多く、猛暑が続く予想だ。夏場の気温が高いと、エアコンの需要はより高くなる。

 昨年は7月の気温が低く、8月になってから一気に気温が上がった。気温上昇後のエアコン販売状況は、望みのエアコンが選べなかったり、取り付けに2週間以上かかるような状態だった。

●最新エアコンのトレンド

 家庭用エアコンの最新トレンド機能の1つが換気だ。

 元々エアコンは室内の空気を吸い込み、熱交換器を通して冷やしたり、温めたりして室内に送風している。このため、ほとんどのエアコンは室内の空気を外に出す換気機能を搭載していなかった。

 しかしコロナ禍により、換気の重要性が高まったことで、換気機能を備えたエアコンが増加しているのだ。

 さらに、これまでダイキンのみだったエアコンの加湿機能がパナソニックにも搭載。吸水なしでの加湿機能を搭載したパナソニックの「エオリア LXシリーズ」は加湿、除湿、換気機能を備え、1台で部屋の空気質を高めることができる。

 また、10年前のエアコンにはなかった機能として、現在欠かせないのがWi-Fi対応だ。

 エアコンがWi-Fiにつながることで宅外からの遠隔操作ができるほか、あらかじめ設定しておいた気温になったら自動で冷房や暖房を入れられる。これなら、高齢者や子ども、ペットだけが家にいるような環境でも熱中症のリスクを減らせる。

 家庭用エアコンは、長くパナソニック、ダイキンを2強として、三菱電機や日立、富士通ゼネラルがそれに続いていた。しかし、近年注目を集めているのがアイリスオーヤマやハイセンスなどの新しいメーカーだ。

 アイリスオーヤマは、17年にエアコン市場に参入。いち早く低価格モデルにもWi-Fi機能を搭載するなど、積極的な製品展開を行っている。また、ハイセンスの新モデルも換気機能を搭載。どちらもシェアの高いメーカー各社と比べると価格が安く、コストパフォーマンスに優れる点がポイントだ。

 さらにコロナ禍によるステイホームでは、工事不要で使えるスポットクーラーが注目を集めた。エアコンが取り付けられない部屋でも利用できる。こちらは、さまざまな新製品が登場しており、性能や使い勝手も向上。これらも選択肢になり得るだろう。

●エアコンの設置まで1カ月を超える例も

 エアコンの取り付けには1カ月を超える例も多発している。その背景にはあるのは、20年頃から続く世界的な半導体不足だ。

 昨年夏には、半導体不足により部品が足りず、エアコンが壊れてもすぐに修理ができない事態が数多く発生している。

 パナソニックの調査によると、21年6〜8月にエアコンを購入した人の28.9%が、使えるようになるまで2週間以上待ったそうだ。同時期に修理を依頼した場合も、22.6%が2週間以上待ったという。

 20年から始まったコロナ禍のステイホームでは、エアコンを買い替えたり新たに設置した家庭も多いだろう。とはいえ、古い製品を使っている一般家庭もまだまだある。

 ダイキンが4月8日に発表した「エアコンの健康寿命に関する意識調査」によると家庭にあるエアコンのうち、製造から12年以上が経過したエアコンは32.8%、10年前後のエアコンは17.8%あり、合わせると約50.6%が10年を超えているのだ。

 また22年3月の内閣府の消費動向調査によれば、2人以上の世帯におけるエアコンの平均使用年数は13.7年。14年前後で買い替えていることになる。

 しかし、メーカーが想定しているエアコンの「設計上の標準使用期間」は10年。つまり10年以上が経過し、故障が発生しやすくなったエアコンを使い続けている家庭が全体の半数以上というわけだ。

 コロナ禍のリモートワークの広がりにより、メーカー各社ともこの数年、エアコンの売り上げを大きく伸ばしているが、10年以上経過するエアコンが約半数ということは、まだまだ商機はある。

●環境省のエアコンサブスク事業も開始

 前回の記事で紹介した、環境省のエアコンサブスクリプション事業は埼玉県熊谷市や戸田市でも始まるなど、さらなる広がりを見せている。

 かつては、夏場にエアコンをつけるなんて贅沢だと言われた時代もあった。しかし、30度を超える猛暑日が毎日のように続く現代において、エアコンはすでに生活必需品だ。

 さらに夏場のエアコンの売り上げは、家電メーカーの業績にも直結する。22年夏は猛暑が予想されるため、各メーカーともプラスに働くだろう。とはいえ、新しいメーカーも続々と参入しており激戦は必至だ。

(コヤマタカヒロ)