動画クリエイターにとって、主要な動画投稿サイト「ニコニコ動画」と「YouTube」のどちらが稼げるのか。長く議論されてきた事柄の一つだ。そうした論争に関して、ニコニコ動画の代表で、ドワンゴの栗田穣崇COO(最高執行責任者)が自身の公式Twitterアカウントで示した見解が「めっちゃ真理説いてる」などと注目を集めている。

●「ニコニコで人気になってからYouTubeにいくか、伸びるまではどちらもやるのが賢い」

 栗田COOは5月26日の午前1時44分ごろ、日本国内のTwitterトピックを扱うまとめサイト「Togetter」の「ニコニコ動画とYouTube、収益格差がすごい」とする記事を引用する形で、自身の公式Twitterアカウントで見解を投稿。「めっちゃ人気のある人だけがめっちゃ儲けられるのがYouTube。一定層に一定の人気がある人がそこそこ稼げるのがニコニコ。好きなことだけして生きていくのがYouTube。好きなこともしながら生きていくのがニコニコ」とツイートした。

 この投稿は記事執筆時点(5月26日午後1時40分)で、約700リツイート、約1800いいねを記録した。投稿に寄せられた「ニコニコとYouTubeの併用が1番賢い?」というユーザーからの質問に対して、栗田COOは「ニコニコで人気になってからYouTubeにいく。もしくは伸びるまではどちらもやるのが賢い」と回答した。

●「ニコニコはネットクリエイターの永遠の『実家』でありたい」

 また、ニコニコ動画について「人気になったらYouTubeに行ってしまってもええんか、と思われるかもしれないけれど、ニコニコは昔から永遠のインディーズであり実家」と音楽業界の用語を使って表現。「10年前はネットそのものがサブカルチャーでサブカルチャーのメインストリームのひとつがニコニコだった」とした上で「ネットが世の中そのものになった今、ニコニコはもともとのサブカルチャーの位置にいるだけで何も変わっていない。メインストリーム体験をした人がまるで全盛期にいたように感じてしまっただけ」との見解を示した。

 「ニコニコはネットクリエイターの永遠の『実家』でありたいと思っている。クリエイターさんがYouTubeに行くときは、就職や結婚生活をはじめると思って『元気でな』『たまには帰ってこいよ』『応援してるぞ』と家族のようにあたたかく送り出していただるとうれしい」(栗田COO)

●ニコニコ動画とYouTube収益を比較した投稿がきっかけ

 栗田COOはなぜ、こうした興味深い投稿をしたのだろうか。きっかけは、ある動画クリエイターの投稿だった。はゆ茶ダヨダヨはゆ茶ダヨさん(@HaYuTeA)は5月14日、約2年間の動画投稿による収益額を自身の公式Twitterアカウントで公開。ニコニコ動画は約50万円だったのに対し、YouTubeは0円だったといい「小遣い稼ぎ程度に動画投稿・生配信やろうと思ったら断然ニコニコなんだわ」と投稿した。

 加えて、「ニコニコの収益って手数料かからないどころか割増しでamazonポイントに変換できる」「ニコニコで収益化できるのって動画と生放送だけだと思ってませんか? イラストもゲームも3Dモデルも自身の利用規約も投稿・収益化できるんです」とも続け、ニコニコ動画の魅力をPRした。

 はゆ茶ダヨダヨはゆ茶ダヨさんは、自身の投稿が約5300リツイート、約3万3000いいねを記録するなど話題となったことから、noteで「全てのクリエイターと、それを推すオタクはニコニコ動画を利用したほうがいいって話」とした記事も公開した。

 記事ではYouTubeとニコニコ動画の特徴をそれぞれ比較し、ニコニコ動画を推奨する理由として、ニコニコ動画がYouTubeよりも収益化のハードルが低い点や、動画コンテンツがユーザーに閲覧される方法が多い点などを挙げている。ただ、はゆ茶ダヨダヨはゆ茶ダヨさんも栗田COOと同様に「それぞれのサイトは一長一短なので特殊な場合を除き同時投稿するのがオススメ」としている。

 YouTubeでの広告収益や企業タイアップなどの収益で生計を立てる動画クリエイター「YouTuber」(ユーチューバー)の台頭に加え、近年はコロナ禍で「密」を避ける風潮も相まって、企業や官公庁も新製品の発表や記者会見の場にYouTubeを活用する動きが加速している。

 だが、そうした今だからこそ、企業が商品PRなどの場にあえてニコニコ動画を活用することで、新たなファン層の獲得につながるかもしれない。第三者が「ゆっくり茶番劇」を商標登録した件で、本来とは違った形で注目を集めたニコニコ動画の今後に注目が集まりそうだ。