悟空のきもちTHE LABO(東京都)は、既存の国内全ての規格のランドセルに取り付けでき、ランドセルをいつでもキャリー化できる2本のスティック「さんぽセル」のクラウドファンディングを開始した。同社は、「同商品発売のニュースに殺到した1000件超の批判コメントに対抗するため」と狙いを説明する。

 同商品は栃木県に住む小学生の双子と兄妹が中心になり、脱ゆとりで重くなったランドセルを、体感で約90%軽くするスティックだ。同社によれば特許も申請中だという。

 重いランドセルに反撃する「小学生による小学生のための製品」として「さんぽセル」と名づけ、4月に発売。3カ月待ちとなる累計約3000台の注文を受け、8月には生産量を現在の5倍ほどに引き上げる。

 さんぽセルは、ランドセルに取り付けて使用する。既存の国内全ての規格のランドセルに取り付けることが可能で、いつでもランドセルをキャリー化できるのはもちろん、取り付けたまま背負うこともできる。

 キャリー時の体感荷重は、ランドセルが5キロの際は「約500グラム」に軽減。小学生の多くが不調を抱え問題になっている、重いランドセルによる健康被害「ランドセル症候群」への対策として商品化された。

 今回、始めたのは「さんぽセルにより児童を支援する寄付型クラウドファンディング」。集まった資金はさんぽセルの使用者が「友達用として配布」する、もしくは児童の健康を目指す活動団体などを通じて、さんぽセル通学を希望する児童に寄贈するための資金として活用するという。

●ニュースサイトに寄せられた批判

 この商品発売について掲載したニュースサイトには1000件を超える批判が寄せられた。開発に携わった小学生たちは、これを「さんぽセル事件」と呼んでいるという。寄せられた一部のコメントと、それに対する小学生たちの反論はこうだ。

――考えた子たちバカそう。

小学生: 僕たちが考えたものが人気で3カ月待ちになりました。あなたは何カ月待ちですか?

――ランドセルに付けられた防犯ブザーが体から離れてしまうよね。

小学生: 防犯ブザーをポケットに入れたりネックレスにしたりすればいい。ランドセルを置いて逃げられて身軽だし、今より速く逃げられます。

――これでは背後から襲われたらどうしようもない。

小学生: 手を放してランドセルを置いて逃げたら、むしろ速い。重いランドセルを背負ったまま逃げるほうが、だいぶ遅いです。

――重たいだろうけど、楽したら筋力が低下していかん! 体も心も鍛えないと!

小学生: (重たい)灯油缶を、いまも毎日背負っている大人が言うなら許します。もし灯油缶を遠くに運ぶなら、大人はみんな軟弱にならないように背負いますか? きっとタイヤで運ぶと思います。同じです!

――突然走ったり、止まったり。その辺の摩訶不思議な子どもの動きに対応できない。

小学生: 自由に走って道路に飛び出すと危ない。摩訶不思議な子どもの動きに対応したら、危ない。通学で走れないことは、むしろちょー安全です!

●共同開発・太田旭氏からのコメント

 小学生たちと一緒に、さんぽセルを開発した大学生の太田旭氏は以下のように話す。

 「脱ゆとり教育の都合で、勝手に異常な重さにさせられた小学生のランドセル。大人たちは、かわいそうと言いますが、助けたり現状を変えたりはしてはくれず、小学生たちが自分たちを守ろうと考えたものを批判をします。作った小学生たちは、気持ちよく学校に行きたいだけなのです。本当はいつかランドセルすらなくなって、さんぽセルが売れない時代を夢見ています」

 また、開発した小学生たちの当初の目標である「廃校に自分たちのゲーム部屋を作ること」は、今夏の実現が確定したという。

 「今回のクラウドファンディングは、小学生たちが社会に屈しないため、社会が無視できない数のさんぽセルを友達に配りまくる資金に活用します。もし学校が、さんぽセルを禁止にするのであれば、ランドセルや荷物をなくしてください。これがみんなの夢です」

 小学生や大学生と企業がコラボして生まれたさんぽセル。旧来の文化や商習慣を乗り越えて、新しい時代の突破口となるか。

(秋月かほ、アイティメディア今野大一)