メガネブランド「Zoff」(ゾフ)で、レンズの色が薄い「ライトカラー」のサングラス販売が好調だ。連日の暑さで紫外線対策としてサングラス需要が高まる一方、新規陽性者数が増え、新型コロナ感染対策としてマスクを着用する人が依然として多いためだ。目元の表情が見えるライトカラーのサングラスを着用することで、怪しさを軽減したいというニーズが好調の要因となっている。運営元のインターメスティック(東京都港区)によると「前年まではサングラスの売り上げが低迷していたが、ライトカラーの商品を充実させたところ、売り上げが増加している」という。

●目元が見えるライトカラーサングラスで怪しさ軽減

 ライトカラーサングラスの販売が好調な直接的理由は、コロナ禍だ。感染対策でマスク生活が続く中、サングラスを着用すると、顔の大部分が隠れ、不審者に思われても仕方ない風貌になる。レンズの色が濃いサングラスを使用すれば、表情が見えず、怪しさはさらに増す。コロナ禍以前は、マスクとサングラスの併用にマイナスイメージを抱く見方も強かった。

 そこで、同社は脱“不審者”のため、マスク着用を前提としたサングラスの最適解を検証。レンズが光を通す割合を数値化した「可視光透過率」(数値が低いほど光をカットし、表情が見えにくい)が異なるサングラスを5種(透過率9%、14%、36%、53%、61%)用意し、マスクありの状態で比較した。

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 このうち9%と53%の比較した場合、レンズの色が濃い9%のサングラスでは、光をほとんど通さない上、顔の表情が見えず、怪しい印象を受けるのに対し、53%のサングラスは「マスクと併用しても目元の表情が透けて見えるため、マスクと併用しても違和感がない」と指摘。サングラスとマスクの併用を考えた際、「目元の表情が分かるかどうかが気をつけるべきポイントだと言えそうだ」と結論付けた。

 検証を踏まえ、同社はサングラスを選ぶ際には「透過率50%以上」を1つの基準とすることを提唱している。

●“脇役”だったライトカラー コロナ禍の販売不振が転機に

 同社は現在、「サングラスの定番色」(同社広報)という「グレー」「ブラウン」に加え、「カーキー」「ブルー」の計4色を中心にライトカラーを提供している。こうしたライトカラーのサングラスはコロナ前は「商品として存在はしていたが、主力商品ではなかった。やはり濃いレンズが好まれ、よく売れていた」。同社広報はこう振り返る。

 だが、コロナ禍で状況が一変した。夏は紫外線量が1年で最も多く、サングラス販売数も伸びる時期だが、過去2年は移動制限や外出制限などによって観光業が低迷。広報によると「リゾート地など観光地での使用イメージが強いサングラスは、使用先を決めてから購入するユーザーが多い」といい、同社のサングラス販売もその影響を受け、不振に陥った。

 「具体的な数値は開示できないが、過去2年のサングラス販売数は過去最低レベルにまで落ち込んでいた」(同社広報)

●サングラス販売不振、「ブルーライトカット」でカバー

 サングラスの販売が低迷する中、売り上げをカバーしたのが「ブルーライトカット」メガネだ。新型コロナ対策で在宅勤務を導入する企業の増加とともに、外出機会が減り、化粧品やコンタクトレンズの消費が減少したのに対し、自宅でのPC作業が増えたためだ。

 化粧品やコンタクトレンズの消費低迷は各統計でも明らかになっている。経済産業省の「コロナ禍における国内の化粧品出荷の動向」によると、マスク着用で口元が隠れることから、化粧品のうち、口紅の出荷数は2017年の指数を「100」とした場合、20年5月は約20となったという。

 また、日本コンタクトレンズ協会が20年9月に発表した調査では、全国15〜59歳の2200人への調査の結果、緊急事態宣言前後でコンタクトレンズの使用時間が減少したことも判明している。自宅ではコンタクトレンズではなく、裸眼か、メガネを使用するユーザーが多いためとみられる。

 他方、PC使用時間の増加に伴い、端末画面からブルーライトを浴びる時間も相対的に増える。ブルーライトによって、睡眠のリズムに影響を与えることが分かったとして、同社はコロナ禍の初期に、美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の女性社員などビジネスパーソンにブルーライトカットレンズを無償提供する取り組みを実施。ブルーライトカット製品の普及促進とともに、相乗効果による売り上げ増加でサングラスの販売不振分をカバーした。

 同社では現在も、メガネの購入時に選択したレンズをブルーライトカット加工するサービスを追加料金なしで提供している。

●マスクの多様化 ライトカラー充実のヒントに

 だが、その後、ワクチン接種が進んだことなどもあり、新規陽性者数が減少。新型コロナへの国民の恐怖感が全盛期よりも一定程度収まったことなどで、在宅から出社に切り替える企業も増え、“ブルーライト特需”にも陰りが見え始めた。

 そうしたことから、同社はサングラス事業に手を加え、移動制限がない状態での3年ぶりの夏到来に備えることとした。商品の拡充を検討する中で、注目したのがマスクだ。コロナ前はマスクといえば「白」というのが定番だったが、マスク需要の高まりを背景に、各社がマスク事業に参入。色やデザイン、素材が異なる、さまざまなマスクが商品化された。

 マスクではなく「マウスカバー」という表現を使っているものの、スポーツメーカーのミズノは水着素材を使った商品を開発し、『仮面ライダー』とのコラボ商品を発売した他、布マスクよりも感染予防効果が高いとされる不織布マスクでも、ピンクや黒などのカラー展開が増えた。

 こうしたことから、マスクをファッションアイテムの1つとして捉え、女性を中心に服装や利用シーンに応じて、マスクの色を使い分ける考えが定着。Zoff側はマスクの動向を参考にグレー・ブラウン以外の色を強化するとともに、マスクとの併用を見越し、ライトカラー商品を充実させた。

 さらに、コロナ禍でブルーライトカット商品が普及したことを踏まえ、マグネット式でレンズの着脱が可能な「Zoff NIGHT&DAY」、紫外線量でレンズの色の濃度が変化する調光レンズ「色が変わるレンズ」などメガネとサングラスの兼用商品の拡充も図っている。当然ながら、いずれの商品にもライトカラーを用意している。

(関連記事:レジャーからビジネスシーンまで──Zoffがサングラス販売を強化するワケ)

 これらの商品がターゲットの1つとしているのが、ビジネスシーンの利用だ。同社広報は「コロナ禍でスーツ以外にもオフィスカジュアルの服装が増え、ビジネスシーンでのファッションの幅が広がった。兼用可能な商品も含め、外回りが多いビジネスパーソンなどへの普及を進めたい」としている。

 夏の暑さ対策グッズとしては、ソニーの“着るエアコン”「REON POCKET 3」や、サーモス・タイガーの「炭酸対応ボトル」の販売が好調だ。これらの商品は独自の市場ジャンルを開拓したといえる。Zoffのライトカラーのサングラスは市場の新たなトレンドとして定着することができるか、注目を集めそうだ。