魚介類に寄生するアニサキスによる食中毒被害が増加する中、和歌山県紀の川市の板金加工メーカー、エムテックはイカに潜むアニサキスを検出する専用機器「イカセン」を新たに開発した。LEDによる白色の可視光線にかざすことで、寄生虫を見つけやすくする。イカ釣りの愛好家などから商品化を期待する声が寄せられており、作製に至った。8月末からの販売を予定している。

 「イカセン」は据え置きタイプ。B5用紙とほぼ同じサイズ(18センチ×25センチ)のステンレス製のボックス型機器で、厚さは3.5センチ。中にLEDライトを搭載しており、アクリル製の天板にイカを載せると、LEDによる白色の透過光で寄生虫を見つけやすくする。

 本体価格は2万円台に設定。飲食店やスーパーマーケットのほか、釣り愛好家など個人客への販売も見込んでいる。

 同社は6月、ハンディタイプのアニサキス検出器「ワームチェッカー」(本体価格2万円台)を発売した。紫外線を照射することで寄生虫を見分けやすくする機器で、水産会社や個人客などが購入に至るなど、反響が大きかったという。

 一方で、ワームチェッカーは対象がサバやアジなどの青魚で、イカには対応していない。釣り好きの個人客などから「イカに対応した機器もほしい」と要望があり、開発室長の根来昌平さん(75)が中心となって開発に至った。

 同社はこれまでに、青魚やイカなどすべての魚に対応した据え置きタイプの検出器「アニサキスウォッチャー」のOEM供給実績(市中想定価格8〜9万円)があり、現在も主に業務用として販売している。今年に入り、大手スーパーが関東の店舗に100台導入するなど手応えを掴む。

 今回、「イカセン」「ワームチェッカー」と用途を分けることで、小型化・低価格化に成功した。今後、業務用のみならず、個人向けの販路開拓も目指す。

 根来さんの父親は約30年前、サバ寿司を食べてアニサキスによる食中毒被害に遭った。当時は内視鏡でアニサキスを除去する技術も進んでおらず、開腹手術を受け1週間の入院生活を送ったという。アニサキス検出器の開発は「言わば父の敵討ち」と笑みを浮かべる。

 根来さんは4年前に社長を長男の繁さん(48)に引き継いだ後も、開発室長として現場に立ち、ものづくりに情熱を注ぐ。次は一体、どんな商品を生み出すのだろうか。