この記事は、『無駄ゼロ、生産性を3倍にする 最速で仕事が終わる人の時短のワザ』(伊庭正康著、明日香出版社)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。

●たった3秒の「魔法のことば」

 いつも、困った時に相談してくる知人がいます。でも、嫌な気分になったことは一度たりともありません。あなたの周囲にも、そんな人がいませんか。何だか、「お互いさま」だと思える人。「お互いさま」だと思ってもらえる彼らのようになりたいものです。

 簡単な方法を紹介します。彼らに共通する口癖をまねてみるのはいかがでしょう。別れる際に、「では、またね」ではなく、「何かできることがあれば言ってね」と伝えるようにしてみてください。

 おそらく、相手はそのことをずっと覚えているものです。それほど、このせりふは心にささります。その時、あなたに「相談に乗るチカラ」があるかは関係ありません。あなたのできる範囲のことをすればいいだけです。

 今でも思い出します。阪神大震災の時、私は京都でしたので被災はしていないのですが、「できることがあれば、言ってね」と言ってもらった人のことは忘れられません。大事なのはその気持ち。たった3秒の言葉ですが、その言葉は相手の心に長く残ることでしょう。

●完璧を期待しない

 人にお願いできない理由に「人に任せると不安」という心理があります。確かに、資料の体裁がイメージ通りでなかったり、文章の「て・に・を・は」が気になったりすることでしょう。だからといって、自分でやったほうが速い、と考えるのは早計。残業せざるを得なくなります。

 だから、たとえ体裁がイメージ通りではなくとも、「て・に・を・は」の用法に違和感があったとしても、内容がおおむね伝わればOKとしておくことが正解です。私はそれを70点主義と呼んでいます。というのも、100点なんて自己満足の域であることがほとんど。「体裁」で得点を取りに行くのではなく、「内容」で勝負すると考えることが、人に任せる上ではとても重要な考え方なのです。

 嫌な話を1つ。「自分流の体裁」にこだわる人はほとんどの場合、嫌われます。周囲から慕われるできる人は「体裁」ではなく「内容」で勝負している人なのです。気をつけたいところです。

●断られたら、「と、おっしゃいますと?」と聞き返す

 当然ですが、人に何かをお願いすると断られることもあります。だからといって拒否されたとは思わないでください。「断られる=拒否されている」と考えていたなら、人にお願いするのが怖くなってしまいます。

 「断られる=何か事情がある」が正解です。

 そこで提案。断られた時は「そうですか。……と、おっしゃいますと?」と聞き返してみてください。この「と、おしゃいますと?」のフレーズには、相手が事情を語らねばならなくなるえたいの知れないパワーがあります。きっと、あなたが想定していない事情が聞けるはずです。

 「今日、締め切りの仕事があって……」「実は、子供が風邪で寝込んでいて……」などの諸事情が分かることでしょう。もしかしたら、代替案を一緒に考えてくれるかもしれません。

 結論です。断られることを恐れないでください。それよりも事情を聞き、方策を考えるほうがスマートな選択です。効果的な仕事をする上で大事なことは「遠慮」することではなく、相手に対する「配慮」です。

●お願い上手な人の「感謝の伝え方」とは

 当然ですが、人にお願いごとをした時は、“感謝の気持ち”を伝える必要があります。ここを疎かにすると、関係がこじれてしまいます。

 ポイントは「タイミング」と「伝え方」。タイミングは3回です。「お願いを受けてもらった時」「やってもらった後」だけではなく、途中でも声をかけたほうがいいでしょう。

 この時、「伝え方」にもコツがあります。手伝ってもらった後の効果まで含めて、感謝を伝えてください。相手も手伝ってよかったと思います。こんな感じです。

「〇〇してくれて、ありがとう。おかげ様で〇〇と来月の契約が決まりました」と。

 この「おかげ様で……」を言い忘れている人は多いもの。このワンフレーズがあると、「手伝ってよかった。また、手伝おう」と思うものです。ぜひ、実践してみてください。

●著者:伊庭 正康(いば・まさやす)

株式会社らしさラボ代表取締役。1991年リクルートグループ入社。法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネジャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社(株)らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は『日本経済新聞』『日経ビジネス』『The21』など多数のメディアで紹介されている。Webラーニング「Udemy」でも営業スキル、リーダーシップ、時間管理などの講座を提供し、ベストセラーコンテンツとなっている。

代表作に『できるリーダーはこれしかやらない』(PHP出版)、『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本』(かんき出版)など。YouTubeやVoicyでも情報を発信中。

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