キャリア調査機関「Job総研」を運営するライボ(東京都渋谷区)は「2023年 上司と部下の意識調査」を実施した。その結果、適切な場面においては上司から「叱られたい」と回答した年代は20代が最多だった。また、20代の26.4%は叱られることで仕事に対する「モチベーションが上がる」と回答した。

●上司から叱られた 20代の経験者は40〜50代の約半分

 上司から熱量高く叱られた経験について聞くと「経験あり」(38.6%)とした人は4割に満たなかった。年代別では「経験あり」という回答は、20代が24.8%、30代が46.1%、40代と50代が共に49.2%と、年代が上がるごとに多くなる傾向に。「経験がない」とした年代については、20代が75.2%と最も高い結果となった。

●「叱られたい派」は20代が最多

 適切な場面において上司から叱られたいと回答した人は19.0%(「叱られたい」3.0%、「どちらかといえば叱られたい」16.0%の合計)。「叱られたくない」(43.5%)もしくは「どちらかといえば叱られたくない」(37.5%)と考える人が8割以上を占めた。

 年代別では「叱られた経験の結果」とは真逆で、年代が上がるごとに叱られたくないと考える傾向にあり、叱られたいと回答する割合は20代が最も多い結果になった。

●なぜ叱られたい?

 「叱られたい」と回答した人にその理由を聞くと「自分の成長につながるから」(68.2%)が最多の回答となり、次いで「自分を見てもらえている気になるから」(48.1%)と「客観的な評価が欲しいから」(48.1%)が同率だった。

 一方で、「叱られたくない」とした人にその理由を聞くと、「萎縮してしまうから」(59.1%)が最多回答となった。次いで「叱られてもしっくりこない」(31.6%)、「反論したくなってしまう」(24.2%)と続いた。

●モチベーションはどう変化する?

 上司から叱られることで仕事に対するモチベーションに変化があるか尋ねると、「上がる」人は4.5%、「やや上がる」人は17.7%。「下がる」(52.9%)もしくは「やや下がる」(24.9%)とした人の方が多い結果になった。「上がる」もしくは「やや上がる」と最も多く回答した年代は20代で、26.4%。次いで30代(23.0%)、50代(16.9%)、40代(14.2%)となった。

 部下に熱量高く叱った経験の有無を聞くと、6割以上が「経験なし」(64.3%)とした。叱らない理由については「時代と価値観が違うから」(40.0%)が最多回答になり、次いで、「叱ること(内容)がないから」(35.5%)、「ハラスメントを気にしてしまう」(30.9%)が上位となった。

 また叱った経験について年代別で見ると、年代が上がるごとに「叱った経験あり」の回答が多く、50代が52.9%、40代が36.2%、30代が27.8%、20代が26.0%になり、20代は叱った経験のある人が最も少ない結果になった。

 上司がいる回答者のコメントからは「叱られることは自身の成長につながるが、価値観の世代ギャップで的を射ていない場合が多い」(20代)、「入社してから一度も叱られた経験がないので、自分の意見は言いやすいですが、経験してこられた上司の観点からダメ出しは欲しい」(20代)といった意見が見られた。一方で、部下がいる回答者からは「世代ごとに仕事の価値観や基礎能力が違うので、上司としての接し方はかなり気を使っている」(30代)、「相手の捉え方でハラスメントになりかねないので優しい上司というキャラを設定しています」(40代)などのコメントが寄せられた。

 調査は、12月28日〜1月4日に実施。20〜1000人以上規模の会社に所属している、20〜50代の社会人を対象に実施した。有効回答数は682件。